未知の交差点
朝の交差点、私いつもあなたを待ってる。
ああ、自転車を漕ぐ音が聞こえて。
左を向けばあなたが遠く。
手を振って、速度を上げてくれる。
膝丈より長いスカート。
まだ少し大きいブレザー。
そんな私をあなたがを抱きすくめたら。
きっと私は幸せと埋もれてしまう。
小テストは今日も満点。
偏差値だっていつも上々。
それでもあなたと長いキスをしたいの。
脳みそ溶けて馬鹿んなるくらいに。
私の手首も心も縛られ。
一輪の秋桜
ひとり秋桜が咲いているのを見た。
すっかり夏は過ぎ去ってしまったなあ。
ねえ先輩、私のことまだ好きでいますか。
私はもう、あのときの、
祭りの香りも思い出せなくなってしまったの。
ねえ先輩、いつか優しく笑いかけてくれたね。
味気ない優等生な私のこと、見てくれた。
先生みたいに放っておかないでくれた。
ああ、めちゃくちゃに愛してしまうよ。
ねえ先輩、いつも私を外に連れ出してくれた。
年上の苦さと甘さ、焦りを隠して、
いつも大人のように笑みを浮かべていた。
ああ、手首掴んで、キスだけしてよ。
ねえ先輩、秋桜の読み方を教えてくれたっけ。
珍しく穏やかな顔をしていた。
そっと後ろから抱きしめてくれた。
でもそんなの、どうせ今だけでしょ。
ねえ先輩、袖を引っ張らせて。
上目遣いでキスをおねだり。
あざとい背伸びも首の角度も。
貴方のためだけに覚えたんだよ。
ねえ先輩、狂っちまいそうだよ。
ベッドに思いっきり押し倒して。
私のこと愛してしまって後悔してる?
ねえ先輩、貴方もまだ子供のくせにね。
貴方の魔性の後輩になれるように。
仕草も勉強もなんだって覚えた。
貴方の一生の後輩になれるように。
唇だってはじめてだって奪われてやった。
ねえ先輩、私は貴方とふたりでいたいだけ。
ずっとさみしくてくるしいんですよ。
ああ、秋桜ってどう読むんでしたっけ。
もう貴方の顔も思い出せないよ。
ねえねえ、せんぱい。
もうひとりになってしまったよ。
そんな馬鹿な私を笑って。
そのあと優しいキスをしてほしいな。
秋恋
秋の寒さが心臓を刺して。
あなたの体温は変わらずあつかった。
昼休みの教室、みんなの知らない机のした。
あっちを向いて手だけ握り合ってた。
空が高いねとあなたは言った。
誠実ぶって車道側を歩いてくれた。
でも、そんなロマンチックどうでもいいから、
はやく、はやく我儘なキスを頂戴。
脳が痩せて溶けていくような。
なんだってテストも考えられなくなるような。
長い甘い贅沢なことをしていたいの。
ねえあなただってそうでしょう。
秋の寒さに複雑になった。
終わりが優しく未来で待っている、
まるであなたのように意地悪で屑ね。
ああまた頭を撫でて誤魔化してんだね。
あなたの頬が赤く染まる頃。
私たちも元に戻ってしまえば、いい。
寂しいなんて考える馬鹿め。
秋の寒さが諦めどきなんだろうな。
せめて綺麗なまま終わりたかった。
あなたにあげた私の全部。
私にくれたあなたの全部。
返して。
秋の寒さが心臓を刺して。
あなたは変わらず、すごくやさしかった。
いつだって黙って抱きしめてくれた。
私の記憶に絡みついて離れないよ。
空がきれいだとあなたが笑った。
誠実ぶって肩を抱いてくれた。
そんなあなたのこと愛してしまった。
狂っちまうほどに、さ。
せめて最後にキスだけしてよ、なんて。
まだ教室で手を繋ぎあってる。
なんて。
しーくれっと・らぶ
とっておきの小さなひみつ。
ひとつ、心の奥にしまってあきらめた。
それはいつのまにか私を侵食して。
気付いたらあなたのとりこだった。
生憎、可愛げは持ち合わせてないのに。
あなたはそこまで優しくないし。
美しい言葉を紡ぐ割に傲慢で。
ああそれなのに、どこか気になるあたり。
私がいけない、なんて言わない。
あなたのときどき見せる気遣い。
だまされないわと笑い飛ばすの。
(書き途中)