秋恋
秋の寒さが心臓を刺して。
あなたの体温は変わらずあつかった。
昼休みの教室、みんなの知らない机のした。
あっちを向いて手だけ握り合ってた。
空が高いねとあなたは言った。
誠実ぶって車道側を歩いてくれた。
でも、そんなロマンチックどうでもいいから、
はやく、はやく我儘なキスを頂戴。
脳が痩せて溶けていくような。
なんだってテストも考えられなくなるような。
長い甘い贅沢なことをしていたいの。
ねえあなただってそうでしょう。
秋の寒さに複雑になった。
終わりが優しく未来で待っている、
まるであなたのように意地悪で屑ね。
ああまた頭を撫でて誤魔化してんだね。
あなたの頬が赤く染まる頃。
私たちも元に戻ってしまえば、いい。
寂しいなんて考える馬鹿め。
秋の寒さが諦めどきなんだろうな。
せめて綺麗なまま終わりたかった。
あなたにあげた私の全部。
私にくれたあなたの全部。
返して。
秋の寒さが心臓を刺して。
あなたは変わらず、すごくやさしかった。
いつだって黙って抱きしめてくれた。
私の記憶に絡みついて離れないよ。
空がきれいだとあなたが笑った。
誠実ぶって肩を抱いてくれた。
そんなあなたのこと愛してしまった。
狂っちまうほどに、さ。
せめて最後にキスだけしてよ、なんて。
まだ教室で手を繋ぎあってる。
なんて。
10/9/2025, 2:15:25 PM