mugen

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5/25/2024, 11:51:39 PM

6.

ある日、私は彼を殺した。

優しくて、かっこよくて、背が高くて、頭が良くて。

誰からも好かれる完璧なくらい素敵な彼を。

理科準備室で殺した。

その事件以来、生徒はもちろん、教師でさえ立ち入り禁止になった。

犯人は分からない。

証拠もない。

ただ、彼の、彼の身体から溢れ出た血の跡だけが、理科準備室に残っている。

それ以外は何も残っていない。

私のものだと確信がつくものは、何ひとつ残していない。

完全犯罪だ。

誰も知ろうとしない、探そうとしない、だから犯人も捕まらない。

私は彼を愛していた。

ただ、愛し方が違ったのか?

なぜ私は彼を殺さなければならなかったのか。

なぜ彼は私を求めたのか。

何度考えても理由が分からない。

目を瞑ると彼を殺した時の光景が瞼の裏に浮かぶ。

温かかった、彼の身体から溢れ出る血は。

美しかった。

最高だった、純粋で無垢な彼を自らの手で殺めることができようとは。

私は今でもあの感覚が忘れられない。

あの温かさを、あの最高の感覚を、もう一度。

4/27/2024, 1:30:19 PM

5.


私の生きる意味。

ふと考えた時真っ先に思い浮かんだのは君だった。

「生きる意味がないなら俺のために生きてよ。」

初めて交わした言葉。

嬉しかった。

誰のために生きるか、なんのために生きるか。

人はそれぞれ想いがあり、信念があり、ありがたさを感じているから生きている。

私にはそれがない。

死にかけていた私に初めて生きる意味を教えてくれた彼。

今では生きる糧になり、かけがえのない存在になった。

彼がいなければ私は今ここにいない。

彼の誠実さが、彼の偉大さが、彼の優しさが、

全てが大好きで、愛おしくて。

彼は私を愛してくれる。

どんな私も全てを愛してくれる。

それだけで、この世界に生まれてよかったと、心から思えるようになった。

4/7/2024, 11:55:43 AM

4.


目が覚めるまでに、私の人生全てがりセットされていたら。

目が覚めるまでに全ての記憶を無くせていたら。

どれだけ楽なことだろう。

どれだけ人生が楽しくなるだろう。

目が覚めても現実は現実。

何ひとつとして変わること無く進んでいる。

辛く、重たい人生が、目を覚ますと始まる。

このまま目を覚まさなかったらどうなるだろうか。

このまま夢の中に居続けるとどうなるだろうか。

幸せに、なれるのだろうか。

どうか、夢の中だけでもいいから、目が覚めるまでは、幸せな夢を見させてください。

そう、何度願っただろう。

4/7/2024, 7:23:02 AM

3.

『もし明日晴れたら、晴天だったら君の元へ羽ばたこう。』

そう決めてから、何度『明日」が過ぎただろう。

元々晴れる日の少ない私の街は雨の日が毎日続いた。

晴れるのが年に数回しかない私の街で、私の生きがいだった親友は死んだ。

私を置いて自殺した。

その日は年に数回しか晴れのない中で1番の晴天だった。

私は親友がいなくなり、生きる意味のないただの「人』
の形をした生き物になっていた。

こんな世界で生きるくらいなら、私は親友ので幸せに生きたい。

ただ、そう思いたった日から晴れの日が無くなった。

親友が私に死ぬなと言っているかのようにタイミング
よく晴れの日は無くなった。

晴れの日がこないとわかっている今日も明日も、来年も、死ぬまで思い続けよう。

『もし明日晴れたら、晴天だったら君のことを忘れよう。』

4/5/2024, 11:49:36 AM

2.



『お祭り」に行けることがみんなにとっての日常であるなら、私にとっては非日常だ。

体が弱い私は人の多いお祭りには行ったことがなかった。

クラスのみんながお祭りを楽しんでいる中、私は1人べットの上で本を読んでいた。

今年こそはお祭りに、そう何度も何度も祈ったけど、お祭りに行けることはなかった。

でも、今年の私の非日常はいつもとは違った。

いつもは見えないはずの窓から花火が見える。

部屋の扉がコンコンと2回鳴った。

「どうぞ。」

扉を開けたそばに1人の男の子が立っていた。

「行ったことないって言ってたから、食べれそうなの買ってきた。」

そういい机の上に屋台で売っているカステラを広げた。

初めて食べる屋台のカステラは、口の中でとろけるような甘さを出し消えた。

ずっと願っていた夢が今叶った、その瞬間視界は透明の水でいっぱいになり、ポロポロごぼれ落ちた。

私の横に座っている男の子が私の手をゆっくり握りこう言った。

「来年は絶対一緒に行こう。俺は、君のことが...」

私は最後の言葉を聞くことも無くその男の子に「ありがとう」とそっと微笑み静かに病室のベットで目を閉じた。

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