16.
期待されるのは嫌いだ。
「将来の夢は何?」
「警察官です。」
「すごいね!将来が楽しみだね!絶対なれるよ!」
「○○責任感あるしね!楽しみにしてるよ!」
小さい頃から誰かを助ける仕事につきたかった。
誰かの支えになることをしたかった。
そうして、沢山考え、悩んだ末選んだ『警察官』という道。
決して楽ではない道。
誰もが私に期待の眼差しを向ける。
親も、友達も、先生も、私の周りにいるみんなが。
応援してくれるのは嬉しい。
でも、期待はしないでほしい。
もし私が受からなかったら、道を諦めてしまったら。
そんなことは決してない。
でももし仮にそうなった時、勝手に期待して勝手に応援してくれた人達は。勝手に幻滅するだろう。
「最初から無理だったんだよ、まぁ難しいから仕方ないよ、またやりたいこと見つけよう。」
なんて適当な言葉であしらって、もう二度と期待なんてしなくなるだろう。
だから私は期待なんてされたくない。
15.
初めて出会った君。
初めて見たとき、全てを好きになった。
たまに会う朝。
見かける度に想いが積み上がっていく。
あなたは毎回「あっ。」っていう顔をするよね。
あなたに会えるかもと毎日朝家を出る前必ず鏡をもう1回チェックするんだよ。
あなたに好かれる準備はできる。
だからさ、早くあの子のことは忘れてよ。
あの人はあなたを振った過去の女。
前を見てよ。いつまでも傷ついていないで、近くにいる。
私を見てよ。
14.
静寂に包まれた部屋。1秒たりとも動かない時計。
まるで時が止まったかのように何もかもが止まっているように見えた。
このまま私の心臓ごと止めてくれ。
そう何度願っただろうか。
見えない恐怖から逃げ続ける日々、床が深みを帯びた赤色に染まっていく。
あと何度この恐怖に耐えれば全てが終わるのだろうか。
あと何度、見えない「明日」が来れば、全て止まるのだろうか。
13.
何もいらない。
独占欲も、お金も、人柄も、言葉も、何もいらない。
ただ、ただそばにいて欲しかった。
会いたいと言うと飛んできてくれる。
私が眠るまでずっとそばに居てくれる。
たとえ言葉を交わすことがなかろうと。
たとえ触れられなくなろうと。
そばに居てくれるだけで最高に幸せだと思うことができた。
そばに居てくれること以外何も望まない。
なのにあの人は、あの人は。
12.
あの時、あの人は、どんな月を見ていたのだろう。
『I LOVE YOU』を"月が綺麗ですね"
と訳した彼の見た月は、どれほど綺麗だっただろう。
きっと、今私が見ている月よりも、はるかに綺麗で、はるかに美しかったのだろう。
愛する人と見る月は、どれほど綺麗だったのだろう。