宵風に吹かれたい

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9/7/2025, 11:19:40 AM

雨の日。傘を忘れた君に思い切って「一緒に帰る?」と誘ったんだ。
君は雨の中に突如として現れた太陽のように眩しい笑顔で俺に感謝を述べて俺の傘へ入ってきた。
いわゆる相合傘というやつだ。

君に伝わってしまいそうなうるさい鼓動も、赤くなっていく顔も抑えられるものではなかった。
でも、全部雨のせいにできたから、安心したと同時に少しだけ残念だった。
全部、雨のせいにしてしまう自分が嫌だった。
だから、本当に小さな声で「好き」って言ってみたんだ。
君は何も聞こえなかったみたいで、聞き返してきたけど俺はまた雨のせいにした。

自分を隠せる雨が好きで、嫌いだ。
雨の日しか君と話せない自分が、大嫌いだ。

9/7/2025, 5:50:04 AM

誰もいない教室には、私の机の悪口を消す君がいた。
一生懸命雑巾を上下させて、苦しそうな顔をしている。
別に私は気にしていないし、君が気にする必要もないのに。
ポンパドールの横に出ている触角のような長い髪が、俯く君の顔に影を落としていた。
君の目は悲しみに満ちていて、私の目は輝いている。

こんなこといつもの事だった。悲しみすらも感じなくなっていた今日、君は私に胸の高鳴りを覚えさせた。
ずるいなぁ。
こんなの本当はダメなのに、この落書きが終わって欲しくないって思っちゃうじゃんか。
ねぇ、君はなんで私の机の悪口を消すの?

君もいなくなった教室で
     まだうっすらと残っている悪口を撫でた。

9/5/2025, 11:53:56 AM

みんなが僕のずっと遠くで青信号を進んでる。
僕はやっと追いついたのに、赤信号に変わって進めない。
みんなはまた青信号を進んでる。
待って、待って、僕も行くから、待ってよ。
僕の周りには誰もいなくて、僕は赤信号を睨むだけ。
上手く歩けばタイミングよく青信号を渡れる。
それでも、僕は下手くそだから毎回赤信号に引っかかる。みんなに追いついたと思っても信号で止まってしまう。
でも、気付いたんだ。信号ってのはあるだけで、車なんか走っちゃいない。止まる必要なんかないって。

勇気を出して赤信号を進んだ。怪我はしなかった。
危なくなんてなかった。周りに誰もいないなら、誰にも邪魔されないんだ!

僕に、信号なんて必要ない。僕の道は、僕が__

9/5/2025, 9:16:35 AM

大丈夫?
そう聞かれても、「大丈夫」としか言えなかった。
あんなに心配してくれてたのに、あんなに「助ける」と言ってくれてたのに。
捻くれた私は「」という事ができなかった。
「どうせ分からない」そう突っぱねてばかりだった。
ごめん。ごめんなさい。
貴方は本当に助けようと、理解しようとしてくれてたのにね。
あぁ、もう、あの頃の私に嫌気がさす。
もう戻りたくても戻れないんだ。
貴方だけでも心配してくれてた時が花だったんだね。

言えなかった「」今じゃもう遅すぎる。
本当にごめんなさい。そして、さようなら。

9/3/2025, 11:47:00 AM

私には大好きな人がいる。
幼稚園から中学校までずっと一緒の彼。
でも彼はうまくクラスに馴染めなくって、所謂、特別学級で授業を受けている。
だから、誰にも言えなかった。
クラスで馬鹿にされている彼を好きだと言えなかった。
我が身可愛さで彼のことを守れない。彼は、こんな空間が嫌であそこへ行ったというのに。
いつまでも、は唇を噛み締めて、彼の悪口を聞き流すだけ。

大好きな人を守れない。結局は自分のことしか考えていない。そんな私が彼を好きだと言えるわけがなくて、ずっと隠し続けてきた。
誰かに相談する資格も、彼に気持ちを伝える資格もないから。

私の好きは、一生彼に届くことはないのだろう。

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