誰もいない教室には、私の机の悪口を消す君がいた。
一生懸命雑巾を上下させて、苦しそうな顔をしている。
別に私は気にしていないし、君が気にする必要もないのに。
ポンパドールの横に出ている触角のような長い髪が、俯く君の顔に影を落としていた。
君の目は悲しみに満ちていて、私の目は輝いている。
こんなこといつもの事だった。悲しみすらも感じなくなっていた今日、君は私に胸の高鳴りを覚えさせた。
ずるいなぁ。
こんなの本当はダメなのに、この落書きが終わって欲しくないって思っちゃうじゃんか。
ねぇ、君はなんで私の机の悪口を消すの?
君もいなくなった教室で
まだうっすらと残っている悪口を撫でた。
9/7/2025, 5:50:04 AM