もう、自分がやりたいことすら分からなくなった。
夢があるんだ。明確な目標。私のゴール。
「小説家になりたい」それだけ。この夢を掴むために頑張ってたんだ。
試しに短い物語を作ってネットにあげた。評判が良くって、もっと書いた。でも、ある日書けなくなった。
昨日までは書けていたはずの文章。なぜか筆が走らない。
それからはもう落ちていく一方。止めようと思えば思うほど自分は何も書けなくなった。
それからだ。自分の夢がわからなくなったのは。
やめたい。でも諦めたくない。どうにかしたい。何もしたくない。
まるで、心の羅針盤が狂ったみたいに。羅針盤が狂ってしまえば、進むことなんてできなかった。
真っ暗。そんな中で取り残されている。
ほら、今だって羅針盤の針は北を指してくれない。
あぁ、いつまでここで彷徨っていればいいんだろう。
もう、何もわからなくなってしまった。
君と私だけの夕日が差し込む教室。
委員会の仕事で一緒になっただけ。君は伸びをしながら私に笑いかける。あぁ、好きだなぁ。
殆ど関わりのない私にも優しく話しかけてくれる。
そんな君が愛おしくて、大好きでたまらない。
「好き」って言いたい。言えたらどれだけ楽だろう。でもなぁ、君は太陽で私は雑草。到底釣り合う訳がない。
あ、仕事が終わっちゃった。早いよ。もう少しだけ…なんて贅沢だよね。
荷物をまとめて君に「またね」と手を振った。君と一緒にいたい。でもね、君といると私が惨めで仕方ない。
本当は、好きって言ってみたい。意気地なしの私には無理だけど。
だから好きを「またね」で隠すんだ。
明日もきっと。
私は泡になりたかった。こんな生きている意味の分からない人生を終わらせたかった。
夜の街で歩いていたら、声をかけられたんだ。
所謂スカウトだったらしい。だけど泡になりたいから、と断った。でも、そのスカウトマンの人さ「泡にもなれるよ。」って言ったんだよ。
それならって、軽々しくついて行ったのが間違いだった。私がなったのは「泡嬢」男性に性的なサービスをする。大人のお店だ。
最初は嫌だったんだ。でもさ、男性に奉仕をしていくうちに、男性に褒められるたびに、私の生きる意味が見えた気がした。
私は別の意味で泡になれたんだ。
おかしい。分かってる。抜け出せないんだから仕方ない。
泡になりたかった私の生きる意味。
これで私は泡として生きられるんだ。
誰になんと言われようとね。
春は別れと出会いの季節。
そんな、寂しくも嬉しい季節に私は失恋をしました。
5年も付き合ってたのになぁ。もうそろそろ結婚だと思ってたのに。
もう27歳だよ?私の婚期終わったよね。
ずっと、彼のことを思い出しては泣いている。
優しくて、スマートでかっこいい。紳士的な彼。嫌なところがあれば直したのに。何がダメだったのかも言わずにさ。
また、目頭が熱くなる。こんなことしてる場合じゃないのに。
春に振られた。気づくともう蒸し暑い夏になっている。
季節が変わったんだ。気持ちの衣替えもしないとね。
春に花は散ったよね。梅雨にもう泣ききったよね。
やる事やったんだから大丈夫だよ。
「ただいま、夏。」私の人生。
「おかえり、私」私自身。
君の言葉が待ち遠しい。___
君とカフェに来た。私はサイダーを一口飲む。すると、シュワシュワとした冷たい炭酸が喉を痛くさせた。
無口な君は言葉も発さずコーヒーを飲む。
3回目のデート。最後の時間。これで何も言われなかったら、脈なし。今日でお終いなんだろう。
あの言葉を言ってほしい。だから時間をかけてサイダーを飲む。だんだんとぬるくなり、炭酸が抜けていく。
君はまだ何も話そうとしない。
焦ったい。嫌なら嫌と、そう言ってくれれば諦められるのに。でも、出来れば「好き」と言ってほしい。
どちらかの言葉が欲しい。結果だけを言って欲しい。
ぬるいサイダーはもう甘い液体。
無口な君の表情を探る。
ぬるい炭酸と無口な君との甘くて痛い時間。
こんな時間が欲しいわけじゃないのになぁ。