手の先、鼻の先、頬などが、あかく紅潮している。
寒さが身に染みて、ギュッと体を縮こめた。
すると、後ろから腕が私を大きく包み込んだ。
「どうしたの」
後ろに向かって投げかけると、
「寒いんかなあ思って。小動物みたいにギュッってしてたやん」
「うん、さぶい」
「はは、呂律もまわっとらんやんけ」
寒さも、悪いことだけではなさそうだ。
お題:寒さが身に染みて 2024/01/11
私は成人式を迎えた。
二十歳。お酒や煙草を吸える年代。
これからいろいろなことが待っているだろう。
花を添えながら思う。
「寒いよね、ごめんね。ストーブなんて持って来れないからさ。電源があれば持ってくるんだけど。」
なんて、洒落を飛ばす。
「まだ君は、子供のままだね。」
濁った石に、一滴の涙が寂しく落ちた。
お題:20歳 2024/01/11
「ごめんね。今日までしっかりできなくて。」
「これからは、赤の他人だから。」
「……」
胸を一突きした言葉が、なかなか抜けなかった。
途中から、抜こうとする気力を失った。
そして私はパートナーをも失った。
いや、もういい。全部どうでもいい。
浮気したのあっちだし。
私はいつも通り家で夕ご飯作ってただけだし。
なんであいつのこと好きになっちゃったのかな。
最悪。
ふと上を見上げる。
目障りなほど星が瞬いている。
その中で優雅に鎮座する三日月は、
まるで私を嘲笑っているかのようだった。
お題:三日月 2024/01/10
人は人。それ以下でもそれ以上でもない。
でも、世界にいる私たちって、形が似てても性格や考え方が違うよね。
だからさ、私が伝えたいこと。
「変わらないものはない。」
人は常に変化し続けている。
周りの環境に合わせて、自分たちが有利に立つために努力してる。
別に私は何もできない、中途半端な人生で惨め、なんて事はないんだよ。
別に、そんなこと考えるなって言ってるんじゃない。
逆にそうやって考えれる貴方ってとても素敵だよ。
そしてさ、沢山悩んで沢山思考を巡らせて沢山解決策を練る。
それって凄いよ。
いつも怒ってくる人は、そのことに対してそれしか引き出しが無いからなんだよ。
君は凄いし、強い。
もっと悩んでみてよ。
君はいつも変化してる。
そして、小さな変化や無意識な変化と一緒に悩んでいけば、
いつか大きな自主的な変化になる。
例えば、髪色を変えたりとか、部屋を綺麗にするとか、新しい習慣や趣味ができるとか。
興味が出てくれたくるほど、貴方は変化している証拠だよ。
変わらないものはない。
今日もお疲れ様。
お題:変わらないものはない 2023/12/27
「生きてるか?」
電話越しに私を心配する彼氏。
今日は一段と寒い。
手が悴むせいでろくに動けない。
室内でマフラーや手袋をして、ようやく暖かい。
ヒーターを付けていたけれど灯油が無くなってしまった。
カイロを貼ったりしてできるだけ暖かくなる様にした。
外は当然曇っている。
そう思えば雹が降り始めた。
「音聞こえる?こっちは雹が降ってるよ」
がざがざと窓に当たったりその下にあった鉄製の園芸スコップやバケツに当たる音も聞こえる。
片付けておけばよかったな。
「凄い音やな。ガラスが割れたりしたら大変やからあんまし近づくなよ。」
「うん」
スマホの画面が明るく光っている。
部屋も小さいライトしか付けていない。オレンジ色の優しい光だ。手元を照らしている。
「こっちは雨が降ってんで。雪は降ってへんけど積もってる。」
そう言われてまた窓の外を見ればすっかり雪に変わっていた。
「雪になった」
「そか。あ、こっち晴れてきたかも。」
「ほんとう?」
「おお、」
と、感動した様な声を漏らしたので私は咄嗟に何が起きたのかを聞いた。
「虹や。ひっさびさに見たわ。綺麗やなあ」
と言うとビデオカメラをつけて見せてくれた。
「見えるか? 二重になってんのわかる? 空におっきく架かってる。」
「見える、凄いね。綺麗。」
私は興奮した。ここ最近はずっと銀世界しか思い浮かばない。
「冬の虹って、結構レアかもしれへんな」
「そうだね、いい事ありそう」
お題:大空 2023/12/22