檸檬味の飴

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「生きてるか?」

電話越しに私を心配する彼氏。

今日は一段と寒い。
手が悴むせいでろくに動けない。

室内でマフラーや手袋をして、ようやく暖かい。

ヒーターを付けていたけれど灯油が無くなってしまった。

カイロを貼ったりしてできるだけ暖かくなる様にした。

外は当然曇っている。
そう思えば雹が降り始めた。

「音聞こえる?こっちは雹が降ってるよ」

がざがざと窓に当たったりその下にあった鉄製の園芸スコップやバケツに当たる音も聞こえる。

片付けておけばよかったな。

「凄い音やな。ガラスが割れたりしたら大変やからあんまし近づくなよ。」

「うん」

スマホの画面が明るく光っている。
部屋も小さいライトしか付けていない。オレンジ色の優しい光だ。手元を照らしている。

「こっちは雨が降ってんで。雪は降ってへんけど積もってる。」

そう言われてまた窓の外を見ればすっかり雪に変わっていた。

「雪になった」

「そか。あ、こっち晴れてきたかも。」

「ほんとう?」

「おお、」

と、感動した様な声を漏らしたので私は咄嗟に何が起きたのかを聞いた。

「虹や。ひっさびさに見たわ。綺麗やなあ」

と言うとビデオカメラをつけて見せてくれた。

「見えるか? 二重になってんのわかる? 空におっきく架かってる。」

「見える、凄いね。綺麗。」

私は興奮した。ここ最近はずっと銀世界しか思い浮かばない。

「冬の虹って、結構レアかもしれへんな」

「そうだね、いい事ありそう」






お題:大空 2023/12/22

12/22/2023, 2:43:48 AM