キュッキュッと、油性ペンと紙の擦れる音が聞こえる。
四角の枠に被せるようにして二つの赤い線を交差させた。
「〝お迎え〟……」
神谷ランという、一人の少女が、その四角の枠の中に書いてあった赤い文字をそっと呟いた。
もぬけの殻になってしまったこの部屋。
ここのシスターに拾われてからすでに16年という月日が経過し、それも今日で終わりと言うわけだった。
「ランー! ご飯だよー」
扉の外から少し籠るような声が聞こえた。
それも元気な少女の声だったが、ランよりも無邪気な声だった。
「はーい、今行く」
持っていた油性ペンを机の上に乱暴に置いて、すぐ持っていけるように扉の近くへ荷物を移動させてから部屋を飛び出した。
お題:カレンダー 2024/09/11
いつもぶっきらぼうに返事をする君。
ずっとスマホを触っている横顔は、今までにたくさん見てきて、沢山知っている。
けど、君の内側は何も知らない。
欠伸も、口癖も、好きな食べ物も知ってる。
けど、君の笑顔は知らない。
可愛いのかな。かっこいいのかな。
もっと知りたい。
2024/03/12
や やってるやってる。
さ さあ、待ちに待った夜食の時間だよ。
し 神妙な顔してるね、これ食べな。
さ 最高の夜食ラーメンを!
お題:優しさ 2024/01/27
受験生の皆様、お疲れ様です。
親御さんのような優しさを届けることはできませんが、精一杯応援しています!
み 道の真ん中で、立ち止まる。
つ つい、目を奪われた。
ど どっと疲れが溢れ出ていたが、吹き飛んだように感じた。
な 何食わぬ顔でこちらを見る満月。
い 居た堪れなくなって、目を逸らした。
と と思えば、ぱらぱらと降ってきた雪が月光を反射した。
お題:ミッドナイト 2024/01/26
あん あんなに笑うんだ、君
しん しんどそうだったのに。
と 兎にも角にも、
ふ 腑に落ちること言わずにさ
あん 安心させてよ。
お題:安心と不安 2024/01/26