※胸糞が悪い
君の目が覚めるまでに、
わたしはなにを望むだろうか。
君の恋人になりたい
特別な存在になりたい
君と今すぐ結婚をしたい
君の喜んだ顔も悲しんだ顔も苦しそうな顔もなにもかも全部
わたしのものにしていたい。
沢山の欲望が私を呑み込み、溺れさせ、戻れなくする。
私欲だらけの汚い感情を、君が好きになるはずがないのに
何故か自分を止められないんだ。
ねぇ、はやく目を覚まして。…返事をしてくれないの?
「……ねえ、**……」
そりゃあ、そっか。
まるで悪夢みたい
君のふつうの恋人になりたかった。
妻のような特別な存在になりたかった。
君とふつうの結婚をしたかった。
私の欲望はほとんど叶わなかった。
でも、
君の悲しんだ顔は……苦しそうな顔は…
私の手によって、私のモノだけにすることが出来た。
誰にも奪われることの無い、きもちのわるい顔。
もう君は息をしない。
私が首を絞めたから。
もうあの顔は二度と見れない。
私が彼女を殺したから。
もう彼女は目を覚まさない。
誰かに首を絞められているみたいに、苦しさでたまらない。
君が目を覚ますまでに、もっと苦しませる準備してあげるからさ。
だから、早く、早く、起きて?
また苦しんだ顔をわたしに見せてよ
『目が覚めるまでに』
8月1日
数ヶ月前に余命宣告をされた私。
そんな私の元に、笑顔で健康体そのものな貴女が病室にやってくる。
毎日駆け込んできては嬉しかったことをずっと話す。
そんな笑顔に、憂鬱だった心も晴れる。
私が一時的に危なかった時も
真っ青な顔をしながら病室に来てくれて、
たくさん私のことで泣いてたね
うれしかった、まだ貴女と生きていたかった。
でも無理だ。
わたしの命が近いうちに枯れ果てて、貴女と生きれない。
そう考えるだけで涙は止まらない。
8月3日
母たちが駆け足で私の病室に入ってきた。
なにかの知らせだろうか。
「**ちゃんが…交通事故で亡くなったって……」
「は?」
意味がわからない、私よりも先に死ぬなんて。
そんな事考えもしていなかった。
どこの誰なの、彼女を轢いた奴は。
許せやしない。謝られたって絶対ゆるさない。
憎しみ、悔しみ、寂しさ。
感情が雪のように重なって、崩れてった。
なんか、もう、こわれちゃった。
8月5日
病室に貴女は来なかった。
当たり前だ、彼女は死んだのだから。
死んだんだ。私の初恋の人は。
自分が寂しさで壊れそう。もうこれって依存だよね。
天国で貴女に会えるといいな。
『病室』
明日、もし晴れたら。
ひとりでどこかに出掛けようか。
誰かとどこかへ出掛けようか。
ひとりで家に引きこもろうか。
友達を誘ってゲームをするのもありだなぁ。
ワクワクしながら妄想するけれど
結局どこも行かず終わりになるのが現実なんだろう、
当日になれば少しばかり面倒くさくなってしまう。
まぁ……
ダラダラしながら過ごす一日も、
悪くないんじゃないかな。
『明日、もし晴れたら』
特に人への思いとかそんなのないのだけれど。
ただ真っ直ぐ生き、結局朽ち果て死んでいく。
それだけの事なのに。
人と関わり、別れの時
何故寂しい思いを人は抱えなければいけないの。
もうあんな寂しい思い、私はしたくない。
だから、一人でいたい。
『だから、一人でいたい。』
澄んだ瞳で私を見つめる君。
どうかその目でこちらを見ないでくれないか。
屈辱や人に対する嫌悪。劣等感、その他諸々汚い感情。
私の内に秘めたもの。
君の目にはそれが透け見えているように思えてしまう。
だから、だから……
澄んだ瞳から、私をどこかに捨てておくれ。
『澄んだ瞳』