もう、会えなくても。
もう、叶わなくても。
もう、力になることは出来なくても。
歌うよ。
あなたのために、あなたの未来のために、あなたの想いのために、あなたの夢のために、あなたの希望のために、あなたの過去のために、あなたの傷のために、あなたの幸せのために、あなたを想う、ぼくのために。
あなたが、あなたのことを幸せにできますように。
ラララ
おやまあ来たよ
あらまあきたわ
よくまあきたね
こんな森の奥深くに?
こんな大陸の端っこに?
こんな鬱蒼とした場所に!
誰かな?
誰かしら?
誰だろう?
はじめまして
ここまでよく来たわね
歓迎するよ
ここは天国の入口!
ここは妖精が果てる場所。
ここは地獄で最も高い場所さ。
われたちが
わたくしたちが
ぼくたちが
君を手伝ってあげる。
さあ、さあ、さぁ!
一歩、踏み出して。
誰かしら?
智者であっても理解出来ぬ知識なら。
学者であっても解明出来ぬ事象なら。
『其』は果たして、この世のものであるのか?
魔法
ほら、こんなにも綺麗な夜だから。
今日だけは特別だよ。
そう言ってその人は僕の手を握り走り出した。
足取りは軽やかで、一歩踏み出す度に髪の毛がふわりふわりと跳ねる。
そのままらんらんと綺麗な鼻歌が聞こえてきて、それがとても楽しそうで、たまらず僕はいきなり走り出すことになってバラバラと動かすしか無かった足をしっかりと直しその人と同じように走り出した。
楽しいね!
うん、楽しい!
それはよかった! お星様には近づいてはダメだよ、みつかってしまうから!
体の横でキラキラと眩く輝くそれはお星様の光だったみたいだ。
みつかってしまったらどうなるのか、問いかけても答えはくれなかった。でもいいと思う。今はこの手に導かれるまま、星の間を縫っていよう。
夜空を駆ける
「……ぁ、あなた、だれですか?」
首が絞まってそのままちぎれちゃったのかと思った。
何より大切な人にこれまでの思い出を否定されたら、こんなに苦しいものなんだ。
もうなんでなんでって情けなく泣いて怒鳴ってしまいたかったけど、終いにしたかったけど! あたしは知ってる。あんたが生きてなかったら、あの事件から奇跡的に助かっていなかったら、きっともっと痛かった。
「あんたの、味方だ。」
きょとんとしながら「僕の……?」と躊躇いがちに返すあんたは、もうすっかりあたしのことを知らないあんただった。ならば、それならば。
「ね、またさ。友達になろうよ。」
「ともだち」
「うん。」
あんたは長考の末、あたしが差し出した手を取る。この苦しみが無くなる日は案外近いだろう。
あなたは誰