Nonamae

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2/20/2024, 11:14:02 AM

「おまっ...まじかよ、それは同情するわ...。」
友に事の報告をした後の友の第一声である。僕の身に起こったのは普段おちゃらけている彼から同情を貰うくらいの大事なのだ。
「だろぉ...?酷いんだよぉ...」
机に項垂れる僕。
原因の彼女を横目に。
先日はバレンタインで周りはカップルで溢れかえっていた。その雰囲気に飲まれてOKが出るだろうと期待しながら、勇気を出して好いていた女の子に告白したところこっぴどく振られたのだ。
そう。凄くこっぴどく。物凄くこっぴどく。こっ酷いなんてこんな連続で使うこと後にあるだろうか。いや、多分ない。
多分、僕のOK出るだろ笑笑みたいな気持ちが彼女には見え見えだったんだろうな。
LINEを使って(何故か知り合いかもに彼女がいた)ロマンチックにと思い明日放課後屋上に来て欲しいと連絡。
翌日僕の下駄箱には1枚の手紙。
ワクワクして開くとそこには「ごめんなさい、私貴方とは付き合えません。好きじゃないです。この際言わせてもらうとどちらかと言えば嫌いです。今後関わらないでほしいです。」との旨の内容が。もちろん好いた彼女の名前が最後にしっかり書かれていた。
何かのいじめかもしれないと思って放課後は屋上で待っていると彼女が現れた。
あの手紙は嘘だったんだ...!!と思ったのもつかの間。
僕があのという言葉のあをいい切る前に
「ごめんない!どうしても貴方とは付き合える気がしないの!手紙読んだのになんでここに来てるんですか!そういう所が嫌いです!」
と言われた。死のうかな。死んだ方がいいのでは?
それを友に報告したのだ。そして冒頭に戻る。

『同情』

2/16/2024, 10:37:41 AM

いつだって自分が優れていると思っている。
だって私は完璧だから。
完璧に育てられ、完璧に育ち、完璧な人生を歩んでいる。
完璧であれば完璧であるほど私に自信がつく。
完璧だけが私を作っている。
完璧、完璧、完璧。
完璧でなければならいんだ。
誰かが私に強要してるんじゃない。私が私に求め強要しているんだ。
その事を誰も分かってくれない。
そこまで含めて私は完璧であるのに。
完璧だからこそ私でいられるのに。
誰よりも優れているなんて称号はいらない。
ただ完璧でいたい。
私が願うのはそれだけ。
だから誰も私に強要しないで。
私は完璧でなければいけないと思うのは私だけでいいの。
私のための私でいればいいの。

『誰にも』

2/11/2024, 9:13:34 PM

「ねぇ、奥さんお聞きになって?森には魔女が出るんですって。」
「あらまぁ、本当ですの?魔女だなんておとぎ話にしかいないと思ってましたわ。」
ひそひそと噂されている、森の魔女の噂。
この世界に魔法というものは無い。それなのに魔女、と呼んでいるのはなぜだろうか。
忌み嫌っているのだろうか。女が森にひとりで住むことに異常さを感じたからだろうか。
どんな理由にせよ人を魔女と呼ぶのは気が引ける。
だからといって''森に住んでいる女''と呼ぶには長すぎる。
だから魔女なんだろうか。
時々彼女は森からでて市場へ行くと聞く。
ほうきに乗って行くだとか、使い魔に乗って行くだとか、羽を生やして飛ぶんだとか、噂は色々ある。
だがどれも信ぴょう性に欠ける噂ばかりだ。
市場に行くにはこの場所を通るだろう。
いつの日か1目見れたらいいが。
1目見る、と言うより話してみたいのかもしれない。彼女と。
彼女はどんな価値観で、どんな声で、どんな性格なのか。
気になるのだ。どうしようもなく。
だから、いつか話したいと思っている。

『この場所で』

2/11/2024, 2:49:47 AM

みんなみんな笑ってる。
けらけら、くすくす、げらげら。
なんで笑ってるんだろう?
笑えない僕がおかしいのかなあ。
みんなみんな笑ってるのに僕だけ笑えない。
『太陽がみ太陽』とか笑えない。
でも隣の席の女の子も、前の席の男の子も、なぜか笑ってる。
僕の視界から見える席の子だと息を切らして笑ってるみたいだ。
何がそんなに面白いんだ。
僕には分からない。
分からないのはおかしいのかな。
でも、全米が泣いた、っていうのは映画のCMでよくあるけど、実際には全米なんて泣いてないよね。だから誰もがみんななんてことはこの世にないって思ってる。
だから僕はおかしくないはず。
きっとそう。
こういう時の笑いって大体空気に流されて笑ってるんだよね。
でも僕って空気が読めないから笑えないんだ。
でも本気で『太陽がみ太陽』はそんなに面白くないと思う。

『誰もがみんな』

2/9/2024, 11:06:35 PM

そうだ、花束を贈ろう。とっておきの花束を。
花束だ、花束が1番彼女に似合うだろう。
本数は多い方が喜んでくれるだろうか。
それとも花の意味を調べてから贈った方がいいだろうか。

彼女はキレイだった。花のように。そこら辺の雑草なんかとは大違いで、向日葵みたいな、他より頭1つ抜けてキレイだった。すらっとした身体にスズランのように白く透き通る肌、可憐な瞳、彼女の何もかもが私を魅了した。
彼女の声がどうしても聞きたくて、自然風を装ってわざとぶつかったら、そこらの人には到底出せない、綺麗な、綺麗な子をしていた。まさに鈴のなるような声、だった。
彼女の事が好きになった私は、何とか会話にこじつけて、数日後会う約束をした。
約束の場所はオシャレなカフェだった。彼女が指定した場所である。
カチコチになりながら先に座っていると、後から白い服に包まれてやってきた彼女が来た。
面と向かって話そうとするとどうしてもぎこちなくなってしまう。
彼女は店員にアイスティーを頼んで、私はコーヒーを頼んだ。
コーヒーは苦手である。だが彼女の前で頼んでしまった手前キャンセルなど出来ない。(というかカフェで頼んだ後にキャンセルなんてできるのだろうか?出来たとしても恥ずかしいのでしたくない。)
だからせめて砂糖をたっぷり入れて飲むと心の中で決意。
そんな決意をしている中無言の空気に耐えられなくなったのか彼女から話しかけてきた。
彼女の言葉は一言一句覚えたいのだがなにせお嬢様言葉なのでお嬢様という言葉に無縁な私は覚えることが叶わなかった。なので要約しながら語らせてもらう。
何故私をお茶に誘ったのかと聞かれ、とてもあなたが綺麗だったからと言ってしまった。
見た目で判断するクソ野郎だと思っただろうか。私に話しかけてくれたのにこんなクソみたいな回答で申し訳ない。
そうだったのですか、と微笑み受け流してくれた。なんて優しい方なんだ。そんな彼女にまた惚れた。
今度は自分から質問しようと思ったがなかなかいい質問が思い浮かばず、なぜか突然好きですと彼女に愛の告白をした。本当になんでだ。いくらなんでもムードと脈略が無さすぎる。言った瞬間から後悔した。あぁ、なんでこんなこと言ってしまったのだろう、普通もっと親交を深めてから言うものであろう。と自分を責めに責める。
するとまた彼女は微笑んで、私もですよ、なんて言葉を私に投げかけた。その時の感情と言ったら驚いたの一言でしかない。驚きと、驚きと、戸惑い、その3つである。
じゃ、じゃあ私とお付き合いを…?と聞くけば、ええ、とまた微笑んだ。
微笑む姿が女神のようだった。
そしてカフェから出ると私は花束を贈ることにした。
花屋について、桔梗の花束を彼女に贈り、正式なお付き合いが始まったのであった。

『花束』

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