"なぜ泣くの?と聞かれたから"
昔の話を聞きたがったのは貴女の方だったのに。
その瞳からほとほとと零れ落ちる涙が不思議だった。
どうして泣くの?と聞くと、
君が泣かないからだ、と貴女は涙声で言った。
なに笑ってんだよぉ、と力無く頬を抓られて初めて、自分が笑っていることに気付いた。
別にね、辛くなんて無かったんだ。
本当に。
だって、それは当たり前のことだったから。
それでも、貴女が泣いてくれたことがなんだか嬉しかったんだ。
頬を緩くつまむ手を外させて、背中をポンポンと撫でると、泣き声が更に大きくなった。
透いた緑に編み込まれた柔らかな赤の音色が綺麗で。ずっと見ていたいな、と思った僕は、いつかの誰かに言われた通りやはりどこか壊れているんだろうか。
こんな人間に好かれた貴女は心底可哀想だと思う。
だけど、もう手遅れだ。
ぎゅっと抱き締めた手に力を込めて、
もう二度とこの手を離してあげられないなぁ、と苦笑した。
"遠くの空へ"
しんと静まった夜半過ぎ。
ふっと意識が浮上した。
一度去った眠気は戻る気配がなく、
壁に背を預けて、片膝を抱え込む。
経験上、無理に眠ると悪夢を見るから。
ただ、ぼうっと暗闇を眺めて時間が過ぎるのを待つ。
窓の外、
空は闇く、星ひとつ見えない。
遠い夜明けの空へ思いを馳せて、溜め息をついた。
" !マークじゃ足りない感情"
なんだろう。
カラカラに喉が渇いた状態で
ようやくたどり着いた自販機の前。
財布を忘れたことに気づいた瞬間の感情とかかな……。
"言葉にならないもの"
あ、そっか。
ふと気付いてしまった感情を、言葉になる前にごくんと飲み込む。
たくさんの水のなかに一滴だけ落としたインクみたいに、じわりと広がり、薄く、淡く希釈されていくのをじっと待つ。
言葉にならなかった思いがぐるぐると蟠り、あとで苦しむことになろうとも。
いま必要なものはそれじゃない。
言葉にしてしまえばどうにも動けなくなるから。
"こぼれたアイスクリーム"
職場への差し入れでアイスクリーム貰いました。
ちょっと早いけど、アイスを食べながら休憩中。
目の前で余った分を巡って熾烈な争いが繰り広げられているわけだけど、なかなか見応えがあって面白い。
" I Scream,
You Scream,
We All Scream for Ice Cream "
皆、アイス好きだよねー。