ミヤ

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8/11/2025, 6:26:33 AM

"やさしさなんて"

一切の瑕疵のないやさしさしか認めない、と言えるのは、よっぽど傲慢で幸福な人だと思う。
やさしさなんて、と振り払うことが出来る元気があるのなら、きっとまだまだ大丈夫。
地獄はこれからだから、楽しんで。

8/10/2025, 3:27:09 AM

"風を感じて"

お参りする時にいつも道の脇に飾ってあった、沢山の赤いかざぐるま。
カラカラと回るそれが不思議で、あれはなぁに、と祖父に尋ねると。
ご先祖さまや亡くなった人達が、
ここにいるよ、と教えてくれているんだと。
よく来てくれた、と歓迎しているんだと。
そう教えてくれた。

ふぅん、とその時は納得したけど。
今思うとなかなかにホラーな考え方だよね。

8/8/2025, 3:19:34 PM

"夢じゃない"

空から舞い落ちる灰が、雪のようだった。

踏み出した足が、さくり、と音を立てて僅かに地面に沈み込む。
黒と白に覆われた地の下で、知らずに踏み潰したものは何だったのだろう。
踏み出す度に、靴底ひとつ分の誰かの大切な何かが塵になって消えていく。

きっと、救いはない。
赤く、黒く、そして白く。
燃えて、焼け落ちた光景は、夢なんかじゃない。
ひどく狭いこの現実という器の底の底には、墓場によく似た安寧だけが揺蕩っている。

雲の隙間から僅かに漏れる陽光に輝く灰は、まるで雪のようで。
無数の呻き声が反響する地獄の底で、ただ、灰の降る空を見上げていた。

8/6/2025, 5:32:45 AM

"泡になりたい"

雑踏に紛れて掻き消される声も。
理解できず理解されずに続かない会話も。
誰にも届かないのならいっそ、存在ごと泡になって消えてしまえたらいいのに。

8/4/2025, 6:28:01 AM

"ぬるい炭酸と無口な君"

そういえば、昔、鶏肉のコーラ煮を作ったことがあったっけ。知り合いに美味しいと教えてもらって、丁度材料があったから作ってみることにしたんだ。

最終段階、コーラと醤油で煮込んでいると、匂いにつられた貴女がヒョイと台所を覗き込んできた。

くつくつと順調に煮込まれている鶏肉。
甘い香りを漂わせる、鍋の中の黒い液体。
空になったコーラ缶をじっと見つめた貴女が、
こいつ、正気か……?という顔をしたのを覚えている。
いや、本当にこういう料理なんだって、と言っても懐疑的な眼差しは変わらず。
味見で一欠片差し出すと、無言でもぐもぐ頬張った後、おかわりを要求されたけど。

料理が口にあうと、口数が減るのが貴女だった。
美味しいものにはじっくり向き合わないといけないから、らしい。
ちょっと目を細めて機嫌良さそうに食べる姿を見たくて、色んな料理に手を出したなぁ。


今じゃもう全然だ。
自分一人のために凝った料理を作るのは億劫なんだよな。

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