"I love"
love という単語は古英語のlufuが語源とする説が有力だけど、bacronymを使った説もある。
bacronymというのは、その単語になるように後付けで意味をでっち上げる言葉遊びみたいなもの。
英語版のあいうえお作文的なものだ。
有名所で言うと、
"SOS : Save Our Ship / Souls"
"NEWS : North,East,West,and South"
"adidas : All Day I Dream About Sports"
あたりかな。
"Denial : Don't even notice I am lying."
(否認:自分が嘘をついていることに気付かない)
"Marlboro : Man always remember love because of romance only."
(マルボロ(煙草):男は浪漫がゆえにいつも愛を心に留めている)
なんていうのも上手く作られていて面白い。
本題のlove は、
"love : Listen,Over look,Voice,Excuse"
(愛:傾聴、俯瞰、声掛け、赦し)
が有名。本質を捉えているようで、なるほどなぁと思わず納得してしまう。もうこれが正解でいいんじゃないかな。
"雨音に包まれて"
雨音と、お湯が沸くシュンシュンという音と。
いつもよりも薄暗い部屋で、マグカップを用意しながら欠伸を噛み殺す。
お湯を注ぐと室内に広がる、珈琲の香り。
カップから立ち昇る湯気をぼうっと眺めていると、雨音がまた一段と勢いを増したのが分かった。
雨はこのまま一日中降り続けるらしい。
珈琲を啜りながらしみじみ、
あぁ仕事行きたくねぇな、と思う。
こんな日はのんびり本を読んで過ごしたい。
雨の日は休日だと定める法律があればなぁ。
そしてその法が制定されるのは、
一年中ほぼ雨に包まれた国であればなお良い。
きっとそう定める人とは気が合うだろう。
"美しい"
はらはらと舞い落ちる白い花のような。
静かな水面に広がっていく綾のような。
緩やかな破滅に向かう絶望が美しいなんてこと、
あなたは知らなくていい。
"どうしてこの世界は"
昔、祖父の知人宅には猫がいた。
人慣れしており、怖々触れた手にもっと撫でろと頭を押し付けてくるほど懐っこい猫だった。
座って本を読んでいると、膝の上に飛び乗って寛ぎ出す。時折頭を撫でないと猫パンチをお見舞いされた。
一冊読み終えて、次の本を取ろうにも猫が居るから動けない。声をかけても、ちょっと足をぱたぱたさせても、素知らぬふり。
意を決してそっと両脇に手を入れ持ち上げると、思いの外ミヨーンと伸びて驚いた。
そして猫の足先は全然持ち上がらない。
まだまだ余裕という顔で無抵抗にダランとしている。
結局膝の上からどかすことは出来ず、諦めて猫を撫でながらもう一度同じ本を読み返した。
どうしてこの世界は、この警戒心のない良く伸びる生き物を作り出したのだろうか。
こんなに無防備で大丈夫なのかと心配になったことを覚えている。
"君と歩いた道"
すぐに道に迷うから、道案内は貴女にお任せ。
一緒の歩幅で歩きたいから、隣に並んで手を繋ぐ。
通る道も、歩くスピードも貴女に一任するけれど、
車道側を歩く役目は譲れない。