ミヤ

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3/14/2025, 2:56:04 PM

"君を探して"

貴女の伯母だという人に会った。
貴女を偲んで話がしたいと、そう言われたんだ。
ほんの僅かでも貴女の面影を探したくて長々と話を聞いていたけど、コレは駄目だと大分初期の段階で悟った。

貴女の伯母は、誰かと誰かを結びつける事に心血を注ぐ人だった。
そのことに感謝する人もいるんだろう。
実際に仲人として何件も見合いを成立させたと聞く。
でもね。
ねぇ、なんで僕の幸せをあんたが決めるの。

僕のさいわいは貴女の形をしている。
今までも、これから先も、僕が自分事にするのは貴女だけだ。
それを、よくもまあ。
貴女が出来損ない?欠陥品?今度は健康でちゃんと長生きできる人を?

ふざけるな。


真っ青になった貴女の伯母に、人でなしだ、化け物だ、と言われた。
どうでもいいや、そんなこと。
簡単に御せると思った?
何を言っても許されると思った?
見誤ったね、残念。

ごめんね。
貴女の血族とは今後一切関わりを持つことはないだろう。もとから法事くらいでしか会わない薄い縁だったけど、それも断ち切ってきた。
でも後悔は全くしてないから、許してね。

3/13/2025, 3:01:52 PM

"透明"

透明な水に一滴ずつ赤を垂らす。
ゆらり揺らめく深紅の帯が滲み、全体に薄く伸ばされ広がっていく様子を見守った。
次は青。筆から滴り落ちた雫が水面に斑点を描き、透いた赤に混ざって徐々に紫に変わる。
クルリと水をかき混ぜ、次は緑を、更に黄色を…と次々に色を加えていく。
ただの暇つぶしだった。
途中からは面倒になってチューブから直接色を落としたっけ。
絵の具箱すべての色を混ぜ終わったその先に残ったものは、黒でもなく、白でもなく、勿論透明のはずもなく、ヘドロのような色をした液体だった。

筆洗いバケツを勢い良くひっくり返すと、汚泥のような水が流れ出すと共に、溶け切れずに沈んでいた絵の具の塊がシンクにベッタリとへばりついた。
洗い場を汚したって叱られたなぁ。

単色は美しい。
混色もある程度なら深みが出る。
でも、過ぎれば毒だ。全てが台無しになる。

感情だって同じだ。
どこまでも透明であれたらいいのに。
抱え込むものが増えるほど醜く混ざり、濁り、曇っていく。

3/12/2025, 3:01:53 PM

"終わり、また初まる、"

何でstart の始ではなく、first の初の方なんだろう。

月末と月初みたいな感じなのかな。
月の満ち欠けに合わせた旧暦から太陽の動きを基準とする新暦に変わったとはいえ、はるか昔から延々と一ヶ月という区切りは繰り返されてきた。
ひと月が終わり、また新たな月がはじまるお陰で、月末・月初はやらなければいけない業務が山積みだ。


どうでもいいけど、"初まる"って字面をみると、
なんだか"はじまる"を訛って"はづまる"って言っちゃう人みたいでほっこりするなぁ。

3/11/2025, 3:08:36 PM

"星"

"きらきら星"をピアノで弾いてくれって言われてOKした後に、"きらきら星変奏曲"のアレンジ譜を渡されるのは殆ど詐欺だよな。
童謡の範疇じゃないよ、あれ。
長いし、難易度全然違うじゃないか。

聞く分には良いんだけどね。
リズムや音域が広がっていくのは面白いし。
同じ主題をあれだけバリエーション豊かに表現できるのは凄いし、作った人は遊び心あるなぁと思う。
でも自分で弾くのは遠慮したい。

3/10/2025, 3:00:36 PM

"願いが1つ叶うならば"

願いが一つ叶うならば。
僕という存在の痕跡を完全に消して、最初からこの世にいなかったことにして欲しい。

今まで何度、自分がいない世界を夢想しただろう。
ここにいるのが僕じゃない誰かだったら良かったのに、と幾度自嘲しただろう。
やり直しなんてしたくもないし、この記憶一つあれば今度は上手くいくなんてそんな自信もさらさら無い。

いつまで経っても僕は自身を肯定出来ないままで。
僕のいない風景はなんて美しいんだろうって。
幼い頃、画面越しに眺めるような遠い幸せを見て、
ずっとそう思っていたんだ。

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