君が感じたこと、どんな些細なことでも知りたい
怒ったり、悲しんだり、喜んだり色んな感情を出す君を見たい
君の、声の小さな君の紡ぐ言葉を全部聞きたい。
いつか君の取扱い説明書作れちゃうかもしれないね。
些細なことでも
あ、と思ったのは無口な君が食後にわざわざ「ごちそうさま」と一緒に何が美味しかったかを真顔で伝えに来てくれた時で。
可愛いなと思ったのは屋根の上で庭に住み着いた猫に囲まれて昼寝してる姿をたまたま見付けてしまった時。
良い奴じゃないかと思ったのは相変わらず屋根で昼寝する君に身体を冷やすのは良くないとブランケットをかけてあげたら後日律儀に洗濯されたブランケットが入った紙袋が部屋の前に置かれていた時。
もっと話してみたいと思ったのは僕が送った和歌への返歌をくれた時、と言ったら仰々しく聞こえるかもしれない。
遠征のお弁当に何となく『気を付けていってらっしゃい』的な内容のメモ添えてみたら返事が返ってきたのだ、彼からしたらきまぐれに書いただけかもしれないけど僕は凄く嬉しかったんだよ。
もっと近くに、と思ったのは宴会の席で君は必ず賑やかな同郷の者と座るから僕は君の隣に座る勇気が出なくて凄くもやもやして。
そんなもやもやしてる僕に気付くはずないのに、抜け出して一緒に呑み直さないか?ってわざわざ僕の元まで誘いに来てくれて。
気が付いたらああ、好きだなと、これが恋に落ちるという事かってこの文系の僕が!君を好きだと思った瞬間が解らないままで少し悔しい。
心の灯火
不完全な僕
時間あるときに
言葉はいらない、ただ…
時間あるときに
「部屋に泊めてくれないかい?」
夜半、枕を抱えた恋人は「うっかり花瓶を落としてしまってお布団が駄目になってしまったんだ」と申し訳なさそうに頭を下げた。
恋人という形になったのが最近の話だが一方的に想っていた期間が長すぎて。
もっと恋人を大切にしたいという気持ちに反して身体を暴いて自分だけのものにしたいどろどろした気持ちが日々強くなっている自分は今夜自分を抑えれるのだろうかとぐるぐる考えていると沈黙を否定と受け取ったのだろう。
「突然だったもんね、無理ならごめん大丈夫」
部屋に戻ろうとする恋人の手首をつかんだ。
「耐えれる自信がない」
言葉足らずとは解っているが、このまま部屋に返したくなくて。
傷付けたくなくて咄嗟にでた言葉だった。
言葉の意味を理解したのだろう恋人は見てるこちらが可哀想になる位顔を赤らめ、掴んだ手首は少し震えている。
今日は部屋を渡して自分は別の場所で寝た方がお互いに良いと思い身体を強張らせたままの恋人に声を掛けようとすれば
「あのね、
僕も耐えれる自信ない」
恋人がポツリと言葉を溢した。
突然の君の訪問