とある二人

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あ、と思ったのは無口な君が食後にわざわざ「ごちそうさま」と一緒に何が美味しかったかを真顔で伝えに来てくれた時で。


可愛いなと思ったのは屋根の上で庭に住み着いた猫に囲まれて昼寝してる姿をたまたま見付けてしまった時。


良い奴じゃないかと思ったのは相変わらず屋根で昼寝する君に身体を冷やすのは良くないとブランケットをかけてあげたら後日律儀に洗濯されたブランケットが入った紙袋が部屋の前に置かれていた時。


もっと話してみたいと思ったのは僕が送った和歌への返歌をくれた時、と言ったら仰々しく聞こえるかもしれない。

遠征のお弁当に何となく『気を付けていってらっしゃい』的な内容のメモ添えてみたら返事が返ってきたのだ、彼からしたらきまぐれに書いただけかもしれないけど僕は凄く嬉しかったんだよ。


もっと近くに、と思ったのは宴会の席で君は必ず賑やかな同郷の者と座るから僕は君の隣に座る勇気が出なくて凄くもやもやして。

そんなもやもやしてる僕に気付くはずないのに、抜け出して一緒に呑み直さないか?ってわざわざ僕の元まで誘いに来てくれて。


気が付いたらああ、好きだなと、これが恋に落ちるという事かってこの文系の僕が!君を好きだと思った瞬間が解らないままで少し悔しい。







心の灯火

9/2/2024, 12:00:58 PM