「部屋に泊めてくれないかい?」
夜半、枕を抱えた恋人は「うっかり花瓶を落としてしまってお布団が駄目になってしまったんだ」と申し訳なさそうに頭を下げた。
恋人という形になったのが最近の話だが一方的に想っていた期間が長すぎて。
もっと恋人を大切にしたいという気持ちに反して身体を暴いて自分だけのものにしたいどろどろした気持ちが日々強くなっている自分は今夜自分を抑えれるのだろうかとぐるぐる考えていると沈黙を否定と受け取ったのだろう。
「突然だったもんね、無理ならごめん大丈夫」
部屋に戻ろうとする恋人の手首をつかんだ。
「耐えれる自信がない」
言葉足らずとは解っているが、このまま部屋に返したくなくて。
傷付けたくなくて咄嗟にでた言葉だった。
言葉の意味を理解したのだろう恋人は見てるこちらが可哀想になる位顔を赤らめ、掴んだ手首は少し震えている。
今日は部屋を渡して自分は別の場所で寝た方がお互いに良いと思い身体を強張らせたままの恋人に声を掛けようとすれば
「あのね、
僕も耐えれる自信ない」
恋人がポツリと言葉を溢した。
突然の君の訪問
8/28/2024, 1:20:35 PM