夏の煙りに乗りながら
春の香りと踊れるよう
願い請われた京友禅から
隠れ仕立てたワンピース
萌黄に咲いた白木蓮と
朱い洋靴も履いていい
もう 何も貴方を縋らない
貴方は何も拭わなくていい
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(半袖)
いつもありがとうございます。
センシティブなお題につき今回は見送りいたします。
宗教観が絡むものをお題として書くことが難しく。
また次回お目に掛かりましたらよろしくお願いいたします。
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(天国と地獄)投稿パス
人が人で在る ほんの小さな心の置き場を
常識人たちは 片隅さえも許してくれない
はやく出ろよ なんて急かしておきながら
消えてしまえ と 抉り潰して止まらない
夜逃げのよう 私は私の中で転々と迷い猫
私の名残達は 最期は石のように身を固く
消えてしまえ と 柔い己が肉を掻き毟る
国道は59号線 夜夜に急ぐ車たちは鉄の河
煤を散らして 立ち並ぶ店店は虚飾華盛り
歩き続けても 逃げ場なんて何処にも無い
眼に入る社会 眼を伏して反射する無関心
人が人で在る ほんの小さな心の置き場を
生きるために 片隅さえ許してはくれない
やがて狂気が 蒼白く路傍まで照らしても
見上げて睨め 私の行き場所は私じゃない
人が人で在る ほんの小さな心の置き場よ
夜逃げのよう こんな路傍に溶けても睨め
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(月に願いを)
調子は良くないけれど
いつも通りでなくても
季節の移り変わりも又
風流の極であるのだと
鵜呑みに良かれと思い
冬と夏の間を 懸命に
反復横跳びをしていた
季節感は その一身に
何故だか思いがけない
批判を浴び続けた結果
他責と自責の念を混ぜ
さめざめと泣き始めて
この有り様なのである
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(降り止まない雨)
さきほど不思議な出で立ちの
物物しげな人か狸か風来坊か
往時の自身に告ぐ言ぞあるか
などと蒟蒻の様に仰るもので
それならあの頃に言づてなど
わかりもしないエピソードを
いくつか伝えてみましたの。
あいわかったや伝えましたぞ
などそれは満足気でしたので
何がわかるものか木偶の坊と
私少し気分が悪くなりまして
お巡りさんに引き渡しまして
こうして帰ってきましたの。
如何にも変わりませんのね。
消えなかった私の勝ちかしら
ふふ。愚かな私。ご愁傷様。
はたしてそれはどの頃の
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(あの頃の私へ)