人が人で在る ほんの小さな心の置き場を
常識人たちは 片隅さえも許してくれない
はやく出ろよ なんて急かしておきながら
消えてしまえ と 抉り潰して止まらない
夜逃げのよう 私は私の中で転々と迷い猫
私の名残達は 最期は石のように身を固く
消えてしまえ と 柔い己が肉を掻き毟る
国道は59号線 夜夜に急ぐ車たちは鉄の河
煤を散らして 立ち並ぶ店店は虚飾華盛り
歩き続けても 逃げ場なんて何処にも無い
眼に入る社会 眼を伏して反射する無関心
人が人で在る ほんの小さな心の置き場を
生きるために 片隅さえ許してはくれない
やがて狂気が 蒼白く路傍まで照らしても
見上げて睨め 私の行き場所は私じゃない
人が人で在る ほんの小さな心の置き場よ
夜逃げのよう こんな路傍に溶けても睨め
―――――――
(月に願いを)
5/26/2024, 1:28:43 PM