不者

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6/2/2024, 5:48:48 PM





 閉店間際話題も尽きて


 ずっと氷を舐めながら


 枝豆一莢押し付け合い


 指が絡んで静かに届く


 ジャンボプリンパフェ


 半泣き気味笑いながら


 始まる無言のファイト




 君が勝ったら告げる嘘
 


























――――
(正直)

6/1/2024, 5:02:57 PM




 白いノイズ 脳を焼いたらいいのに

 思ったより風情でもない窓際




 湿気た項 雨間なんて要らない

 喧しさも人の聲より静謐




 縁の終り 触っただけの感情

 鳴らないなら無言もただの挨拶






「いつも此処は暖かいのに どうして」


 不思議そうに毛並みを捩る猫達

























――――
(梅雨)

5/31/2024, 5:25:35 PM





 ブルスケッタに
 プチピンチョス


 エプロン姿に頬杖で
 酒の好みをまた覚え


 香りだけ 香りだけと
 ワインを香り咽ている









 ミートローフに
 アクアパッツァ


 色を失っていく日常
 愚かに留まる夢心地


 増える得意料理
 揺れる言葉の羽












 味見は罪
 恋は足枷
























――――
(無垢)

5/30/2024, 7:49:49 PM




 都心駅チカ1DK
 独り暮らしの最適解

 ボロ屋で瑣細な野心を抱いた
 瑞々しさの新成人






 海を揺蕩う浮き草の
 ゆらりふわりと事もなげ

 私は私のままに だなんて
 思っていたのはいつの日か






 箸で掴んで洗うよう

 今日は此処 昨日は彼処と
 押込めグチャリと交ぜられて

「お疲れ様」と この巣に干され
 若布のように明日を経る






 乾いた私が割れぬよう

 塩ごと隙間に擦り込んで
 水を得たりと回遊魚

 鉄の匣から身を投げて
 水銹を逃るというのなら







 朝に揺蕩う漁火に
 今日は此処 昨日は此処と



 鰭が無くとも 目移りしたい






















――――――――
(終わりなき旅)

5/29/2024, 5:58:08 PM




 貴方が絵画のように
 微笑を形成している。


 この恋を悲劇として
 僕と貴方は舞台の上。




 
 一層魅きつけてくる
 らしくない美しさは


 互いの心を守るため
 貴方なりでの一芝居。






 僕も貴方も敏いから
 すぐに気づいていた。




 僕はうぬぼれていた。
 







 最後に差し出された
 その手を握り返して


「今一度
 貴方を好きになった」










 貴方と
 舞台を降りた気の侭。





 その手
 だけは



 芝居でなかったのに。






















――――――
「ごめんね」

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