都心駅チカ1DK
独り暮らしの最適解
ボロ屋で瑣細な野心を抱いた
瑞々しさの新成人
海を揺蕩う浮き草の
ゆらりふわりと事もなげ
私は私のままに だなんて
思っていたのはいつの日か
箸で掴んで洗うよう
今日は此処 昨日は彼処と
押込めグチャリと交ぜられて
「お疲れ様」と この巣に干され
若布のように明日を経る
乾いた私が割れぬよう
塩ごと隙間に擦り込んで
水を得たりと回遊魚
鉄の匣から身を投げて
水銹を逃るというのなら
朝に揺蕩う漁火に
今日は此処 昨日は此処と
鰭が無くとも 目移りしたい
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(終わりなき旅)
5/30/2024, 7:49:49 PM