4/21/2024, 12:19:36 PM
茹だる季節を 置き去り
蒼き虚しさ 旧き石の灰
君の項を 巫山戯るよう
幾千年 天へ滴る名残痕
一度 問うても応えなく
声 木霊して真偽もなく
頷く君の今を連れ出す
―――
(雫)
4/20/2024, 12:00:52 PM
「クッキーはだめ
ナッツはいかが」
ランチはチキン
紅茶はブラック
「お返しせずには
いられないから」
鯉の影は氷の裏
水着選びは先延
きみは
てづくりには
慣れていないんだね
何の気も使わないで
二十八日
で終らない
優しいきみの心残り
「その侭忘れていいよ
甘いのはお預けなの」
どうか忘れないでね
勝負はまだ溽暑の先
――――――――
(何もいらない)
4/19/2024, 11:17:45 AM
其処に君はいない
其処の君は愛せない
悪罵を連ねるのは
今の君だけでいい
―――――――――――――
(もしも未来を見れるなら)
4/18/2024, 12:52:24 PM
涅色の服 鈍色の鞄
潤び渇いた書書寂寂
部屋の隅まで棄去って
陽に満ち満ちた立方体
行き過ぐ旅に
鎮まない
君の踏む香と
藺草の香
―――――――
(無色の世界)
4/17/2024, 1:04:35 PM
予報士の褒め煽てた爛漫は
酔いどれの囂しさを諫めて
微睡みを許した羽衣のよう
連れ出した枝はあまりにも
春色を澄ませては澱まない
一陣は花弁一つも放さずに
慣れない化粧を擽るばかり
息を呑む景色にも君は一瞥
木陰に佇み侘び焦がれなく
まるで呑まれる気色もなく
凪 一望に降る雪も迷わず
視界の端
一枚 また一枚
君を捉えた侭 像を結ばず
選べない
一枚 また一枚
―――――
(桜散る)