ふっと
音が消えて
現れた医者
「君は大丈夫」
そう大丈夫
踊る街路樹
折り畳む
紙飛行機
開いた先
君は其処
「 大丈夫」
大丈夫
ひらひらと
とどかない
見えないの
押し花の栞
閉じる手の
出口は彼方
冷えない顔
言えない鐘
君の音 心配は
燦燦と 軽佻に
星砂が溝を梳く
昼は詞に祈れ
夜は海に溶け
朝は枕が塞ぐ
僕は何処にも
こんこんと
ねむりはて
おもうこと
ねがうこと
「 流される」
君は流される
医者は
街路樹と踊る
―――――――
(夢見る心)
かつりと鳴いた 飛車の筋
振る舞いだけは 名人さま
勝ったら今度こそ なんて
劣勢さえも ほくそ笑んで
貴方 いつも負けが込むと
取引 ひとつ思い出す
愛を 愛を囁いてよ
例え 嘘でも冗句でも
他の 誰でもない君の
今の 君ではない君の
春秋幾度も 連れ添った
ひさかた振りの 盤上に
駒を並べて 差し出せば
かつりと噛んだ 玉の駒
―――――――
(届かぬ想い)
扱いがセンシティブなお題につき、今回はいつものような言葉は差し控えます。
(形にはしたものの、諸般思うところあり、どうしても人の目に触れさせて良い出来にはなりませんでした)
楽しみにしてくださった方がもしいましたら、ごめんなさい。
沢山の♥に本当に励まされています。
いつもありがとうございます。
また次のお題でお目にかかりましたら、難儀な言葉ばかりですが、どうぞお楽しみください。
―――――
(神様へ)投稿パス
画布の先 筆を構えて見た瞳が
ぼくを置き去るように細むので
この絵はお終いなんだと悟った
夢の当て事のように君に問うて
穂先は酸欠のようにふらついて
終に思いがけず落とした筆洗に
円く咲いた水縹
天を衝く君の恋
――――
(快晴)
居心地よどうぞいかがです
なんて最悪さえも思えまい
つむじに増えゆく白髪やら
果ては
へそくり在り処見つけたや
発見ばかり こどものよう
飽く間もないと 浮き心地
地に這うことはいやがって
鳥のようにもなりきれない
いっそ果てまで舞い飛んで
けたけた笑えば良かろうに
それじゃ肴になりゃしない
呑めもしないで見下ろしや
連なる背中を指差してはて
何を眺む また笑むばかり
―――――――――
(遠くの空へ)