9/22/2023, 4:32:39 PM
闇夜を照らす星々の産声が
宙の海をやさしく包む時
聞き分けのない私の小さな舟をあやして
眠りにつくまでどうか子守唄を
月まで届けて欲しい
銀の泡で包んだこの想いを
鯨が歌った愛のうたを
淡い光が満たす
丸い水槽を腕に抱いて泣いていた
深い 深い 紺色の中で
微かに耳に届いたメロディー
夜が呼んでいる
8/18/2023, 8:03:17 AM
想い出 過去 記憶 幻想
後悔 選択 回想 追想
優しさ 温もり 声
青い夢 ゆりかごの腕 海の子守唄
郷愁 山の匂い ひだまりと猫
小さなプライド 頼りない栄光
今を生きたい私
地を這う諦めの悪い命
8/12/2023, 9:48:17 PM
目蓋の裏の秘密のプラネタリウム
真っ黒な君が友達を連れてきては集まって
可愛らしい演奏会を始める
星座をなぞる指先から奏でるシンフォニー
零れ落ちた金平糖がグラスに当たって
空に響くカンタービレ
8/11/2023, 8:41:31 AM
灰色の雲が赤く染まっていく
渇いた思考の繰り返し
今日も駅の階段を昇って雑踏のひとつとなる
窪んだ眼球が映すこの街の景色は
胸焼けがするほどいつも通りで
階段の手すりに掛けた指先に汗がにじむ
終わりの見えない日々に呼吸も出来ずに
飲み込んだ言葉は吐き出すタイミングを失って
見上げた空は焼けつくほどに赤く遠く
「もういいんだよ」
ふと、天使の声が聴こえた気がした
ホームにノイズ混じりのアナウンスが響く
「間も無く終点、終点になります」
8/3/2023, 8:42:05 PM
深夜二時半過ぎの
澄んだ硝子ケースの街
鯨の鳴き声で目を覚ませば
トビウオの群れが流れ星に混じって
月明かりを浴びて輝く羽がとても綺麗だった
今この世界は私だけのもので
あの星も 月も ひとりじめ
四肢を投げて 仰向けになって
見上げた先にまんまるお月さま
静寂が青く透き通って
魚たちが吐く 銀の泡が
あの月を目指してぷかぷかと昇っていくのを
ただぼんやりと眺めた
霞む視界 薄紫の灯り
白む空の雲間に気付く頃には
きっとすべて消えてしまうでしょう