飛花

Open App
8/8/2023, 4:13:51 PM

「お姉っちゃん! 見て見て、またママが買ってくれたの」
そう言って妹は、わたしが欲しいものを見せた。
「お姉ちゃん、買って貰えなくてかわいそ! やっぱりさ、ママの言う通り、"出来の悪い子"は与えられないんだから、お姉ちゃんも頑張ってね」
妹の精一杯の励みの言葉は、少しひねくれていて、母の思想を受け継いだものだと実感する。受け継ぐことができなかったわたしが淘汰されるのは当然のこと。
自分に思想が似ているものを好み、異なった価値観を持つものを排除する。妹だけを愛でて、わたしには形だけの世話をする。わたしを、可哀相だと、不当だと思う人間も在るだろう。ただ、わたしはもう愛でられることを嫌悪してしまうから、妹が不憫で不憫で仕方なくなる。
自分が受けた子育てを、そのまま我が子にする人がほとんどだと言う。母はきっと、区別される子育てを受けたのであろう。どちらの立場かは知る由もないが。
「お姉ちゃん? どうしてそんなに行動しないの? ママに睨まれちゃうよ。わたしママには笑ってほしいんだけど、お姉ちゃんはそう思わないの?」
親に無駄に甘やかされて育った人間が、大人になれる気がしないのは、わたしだけだろうか。程よく愛でられるのは非常に快いものではあるが、妹に対する母のそれは、過剰であるように感じてしまう。
それでも、わたしは母に愛でてほしいと偶に思ってしまうのだ。




#蝶よ花よ

8/6/2023, 10:13:29 AM

「あっぢぃぃぃ」
汗でずぶ濡れの君はそう言った。汗を袖で拭うその動作は、嫌悪感を抱かれてもおかしくないはずなのに、わたしにはそれがひどく輝いているように見えた。
「んもう、そんなこと言いつつずっとテニスしてたんでしょ? 今日くらいやめといたらいいのに」
「いやーでもさ、もうすぐ大会近いから。今年で最後だし、手を抜く訳にはな。心配させてすまんな」
そう言って君はわたしの頭にポンと手を置く。そして、「あっつ!」と瞬時に手を離した。
「お前さ、ずっと外いたの? 頭熱すぎ」
「んー、テニスするの見てただけだし」
君は、やれやれと言いたげに俯いたけれど、その頬は赤らんでいた。





#太陽

8/5/2023, 12:12:16 PM

大晦日。煩悩の数、鐘が鳴る。107回、12月31日に鳴る。1回、1月1日に鳴る。煩悩は、どうなってもなくならない。
人間が生きるためには必要なものだから、仕方がないか。





#鐘の音

8/4/2023, 12:54:46 PM

電車の中でスマホゲームをする真剣な顔。授業中にぽかんとした顔をしつつもしっかり先生の話をする姿。部活をしているときの多彩な表情変化。
あなたの全てが好き。誰がなんと言おうとも。




#つまらないことでも

8/3/2023, 3:37:14 PM

「大好きだよ」「俺も」
愛を確認し合うふたり。まだ1ヶ月目。来月はどうなっているかな、仲がいいことを願いたいけれど、
恋は盲目。




#目が覚めるまでに

Next