飛花

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「あっぢぃぃぃ」
汗でずぶ濡れの君はそう言った。汗を袖で拭うその動作は、嫌悪感を抱かれてもおかしくないはずなのに、わたしにはそれがひどく輝いているように見えた。
「んもう、そんなこと言いつつずっとテニスしてたんでしょ? 今日くらいやめといたらいいのに」
「いやーでもさ、もうすぐ大会近いから。今年で最後だし、手を抜く訳にはな。心配させてすまんな」
そう言って君はわたしの頭にポンと手を置く。そして、「あっつ!」と瞬時に手を離した。
「お前さ、ずっと外いたの? 頭熱すぎ」
「んー、テニスするの見てただけだし」
君は、やれやれと言いたげに俯いたけれど、その頬は赤らんでいた。





#太陽

8/6/2023, 10:13:29 AM