洗濯機を回して、ホースから泡がボコボコと流れていった。
汚い食器を洗って、洗剤をつけて泡が出た。
手は汚いと言われて手洗いをしたのに、泡だった。
泡って、綺麗にしてくれる、魔法みたいだ。
汚れきった人の心も、泡立って綺麗になるのだろうか。
いや、むしろ、泡になって流されて消えたい。
泡は最後に洗い流されて消えてしまう。
今、汚れきった私は、消え去りたいと願っている。
泡まみれになって綺麗になりたい、より、消え去りたいから泡になりたい。
【泡になりたい】
みんな! 僕のこと、待ってたよね?
僕がいないと、かき氷だっておいしくないでしょ?
風鈴を聞いて、風流だなぁ、って思わないでしょ?
カブトムシもクワガタもセミも、僕の季節だからこそだよね!?
え? 呼んでないって?
まったくもー、ツンデレなんだから!
僕がいなかったら、お祭りデートも海のデートもプールのデートも物足りなくなるでしょ?
大きな声で、おかえり、夏!、って言ってくれていいんだよ?
冬になったら、きっと夏が恋しいなぁ、とか寂しがってたんでしょ??
僕からも、ただいま!
また数ヶ月間、お世話になるね♪
ただいま夏が参上いたしました!、なんちゃって☆
【ただいま、夏。】
追記、今回はいつもの堅苦しい文章やめて遊んで書かせてもらいました←
夏にキンキンに冷えた炭酸は、とてつもなく旨い。
お金はないけれど、俺はコンビニに立ち寄り、君の大好きな炭酸水を買った。
年上の彼女の君。学生の俺と社会人の君。
仕事が終わる頃に最寄駅に迎えに行き、最寄駅付近のコンビニで、お疲れ様とドリンクを差し入れするのがルーティーンだ。
「あちぃ……」
コンビニで買い物を済ませ、屋根はある日陰に入るものの、外気温はめちゃくちゃ暑い。
「あ、待っててくれたのー?」
スーツ姿の彼女が改札口から出てきて、俺はパアッと太陽よりも明るく輝く。
「暑かったでしょ、迎えにこなくても大丈夫なのに~」
「彼氏ですから!」
彼女は、クスッと笑って見せた。続けて、俺はさっき買った炭酸水を渡す。
「はい! お仕事お疲れ様!」
「ありがとう! 喉乾いてたんだ!」
彼女は、そう言うと、炭酸水をグビッとあおった。
その姿を見届け、俺も一緒に買った飲み物を飲む。
しかし……
「ぬっっっる!!!」
声を出したのは俺だった。
炭酸水を飲んだ彼女なら、なおさらぬるいとなると不味いだろう。
申し訳なさそうに俺が彼女を見ると、君は無口なまま笑顔になっていた。
ぬるい炭酸であることは間違いない。
多くを語らない無口の君を見て、俺もつられて笑顔になった。
【ぬるい炭酸と無口な君】
どうしようか、今の時代に瓶に手紙を入れて海に放り投げるという行為をしている人はいるのだろうか。
目の前には夕陽が沈みそうになっている。キラキラした波に赤い太陽の光があたって、宝石のようだ。
昔の漫画や映画で、瓶の中に手紙を入れて、それを海に投げてうち上がって……なんてものを見た。
なんて素敵なんだろう、と思い私もそれを真似てみたのだ。
昔には、同じような風船に手紙をつけて飛ばしてみたけれど、返事はまだない。
手紙の内容は友達がほしい、返事をください。
書いて、瓶に詰めて、いざ海について、今の時代、海のゴミ扱いになるのでは、と躊躇っていたところである。
よくよく考えると、砂浜から投げた所で、波でそのまま砂浜に戻ってくるかもしれない。沖合いからやって漂うものなのかもしれない。
……もし、砂浜に戻ってきたら、諦めて回収して帰ろう。
私は燃えるような太陽に向かって手紙の入った瓶を思いっきり投げた。
ポシャンと水中へ、そして瓶は浮き上がってきた。
赤い波を手紙は漂う。
私の手紙は波にさらわれてしまった。
「行っちゃった……」
赤く煌めくそれを見ながら、私は小さく呟いた。
波にさらわれた手紙は、どこかの誰かに届いて友達になってくれるだろうか。
【波にさらわれた手紙】
遠くに行った君が、帰ってくる。
お盆の期間に、姿は見えないけれど、帰ってくる。
欲を言えば、もう一度君に会いたい。
でも、それは叶わない夢。
側にきっといるはずだから。
いつも側で見守っているのかもしれないけれど、更に近くで君を感じることができる期間。
【8月、君に会いたい】