最初は光なんてなかった。暗闇の中、ただ夜空を見上げていた。
寒くて心細くて、すぐに家の中へと戻る。
三日後、光が生まれた。まだ小さくて、でも煌々と光輝き、存在感をアピールしていた。
何もないところから生まれた三日月は、これから満月に向けて、どんどん光満ちていく。
何もない新月の時は、すぐ家へと戻ったけれど、少しでも光が見えると長居してしまう。
ねぇ、知ってる? 三日月にも流れ星と一緒で、願い事が叶うって言われているんだよ。
私は三日月に向かってお辞儀をしてお願いをした。
神秘的なおまじない、信じるか信じないかはあなた次第♪
そっと寝静まった家へと戻った。
【三日月】
冬の町中はモノクロに溢れている。
雪の白色に建築物のグレー、黒を基調とした温かい服装。雪が降りだしそうな雲行きだと、灰色に磨きがかかる。
なんだか、空気や気持ちまでモノクロになってしまう。
だから私は、奇抜な服装をしている。
少しでも明るく見えるように、桃色な髪、オーバーは水色のふわふわした服装、靴は緑色に近い青。
パステルに近い彩りで、モノクロの世界に淡く輝く。暗い世界にほんのりと。
田舎育ちの私は、ここではすごく悪目立ちしていた。モノクロに染まらない私には、雪よりも冷たい視線を感じていた。
だから、成人式を終えた今、私は都会に足を踏み入れる。
周りを見回すと、モノクロの色があまりにも少なかった。
煌々と光る大きなモニター、髪色だってオレンジや真っ赤、黄緑色……様々なヘアカラー、クリスマスが終わっているのに、水色と黄色のイルミネーション。
都会には色があった。人が温かいのかと言えば、そうとも限らないかもしれないが、田舎にいた時のような視線も感じない。
色とりどりで、少なくても、心にも色が付いた気がした。
【色とりどり】
雪はひらひらと舞いとても綺麗に見えるのは、あまり雪をお目にかからない都会の人の幻想である。
雪が降ると聞けば、何時に起きようか計画をたてて、寒いと思って着こんで雪掻きをすれば、すぐに暑くなる。
腰は痛くなるし、腕はぷるぷるしてくるし、足はがくがくするし、たまに背中はつりそうになるし、指先はがちがちになるし、末端は隠していないと取れるんじゃないかと思う。
みんなは綺麗な雪しかみていないようだが、雪国にとってはすごい重労働である。
ただ、一つだけ言えることがある。
降らないにこしたことはないが、
降らなければ降らないで、なぜか、物足りない。
あれ? 今、冬だよね?
【雪】
学校が休みである現在、冬休み中。
外は寒く、ちらほら雪さえ舞っている年始。
俺には付き合って1ヶ月の彼女がいる。しかし、実はまだデートさえしたことがない。
この1ヶ月では、クリスマスやお正月など、カップルには嬉しいイベントが目白押しなのにも関わらず、まだデートはしていないのだ。
通常であれば、一緒に下校して他愛ない会話をするだけで、どこに行く、ということをしたことがないのだ。彼女と一緒にいれれば、俺はもう満足なのである。
ちょっと冬休み期間中だから一緒にいれる時間が減っているだけであって。
それに--
(どうやって誘えばいいんだよ……)
俺はスマホを片手にため息をつく。
会いたいな、なんて、男の俺から言う言葉なのだろうか。女々しく思われないか?
悩んでいるうちにも時間は刻々と過ぎていく。
付き合って初めての長期休みに何も進展がない、なんて。
意を決した。
コール音一回。速攻彼女は電話をとってくれた。
「あ、もしもし」
『いきなり電話きてビックリしたぁ』
あぁ、この柔らかい声。これが俺の自慢の彼女です。
「いきなりでごめん、あのさ、今日、一緒に……」
どこか特別に出掛けなくても、君といっしょの空間があれば、俺はそれでも幸せだけれども。
君といっしょに【特別】を作れることは、もっと幸せだよね。
いつの間にか、舞っていた雪も目視できない、穏やかな冬の陽が差し込んでいた。
【君といっしょに】
年末年始、例年なら、年越し寒波や新春寒波など、良い天候が続くことは少なかった。
しかし今年、2023年は一週間以上の晴天。
澄んだ空気、晴れ渡る青空、穏やかな太陽。
どれをとっても清々しい気持ちになる。
真夏の晴れはうだる暑さ、高い湿度で息苦しさを感じるほどだが、冬は冬の良さがあるのだ。
真冬は寒くて外に出るのが億劫になるが、晴れていれば気分転換にと外出する気にも少しはなるのではなかろうか。
クリスマスあたりから始まる豪華なご飯、忘年会にお節料理やお餅、身に付くものもあることでしょう。
そんなあなた、冬晴れな日にはお散歩程度でも運動はいかがですか?
【冬晴れ】