喜村

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 冬の町中はモノクロに溢れている。
雪の白色に建築物のグレー、黒を基調とした温かい服装。雪が降りだしそうな雲行きだと、灰色に磨きがかかる。
 なんだか、空気や気持ちまでモノクロになってしまう。

 だから私は、奇抜な服装をしている。
 少しでも明るく見えるように、桃色な髪、オーバーは水色のふわふわした服装、靴は緑色に近い青。
 パステルに近い彩りで、モノクロの世界に淡く輝く。暗い世界にほんのりと。

 田舎育ちの私は、ここではすごく悪目立ちしていた。モノクロに染まらない私には、雪よりも冷たい視線を感じていた。
 だから、成人式を終えた今、私は都会に足を踏み入れる。

 周りを見回すと、モノクロの色があまりにも少なかった。
 煌々と光る大きなモニター、髪色だってオレンジや真っ赤、黄緑色……様々なヘアカラー、クリスマスが終わっているのに、水色と黄色のイルミネーション。

 都会には色があった。人が温かいのかと言えば、そうとも限らないかもしれないが、田舎にいた時のような視線も感じない。
 色とりどりで、少なくても、心にも色が付いた気がした。

【色とりどり】

1/8/2023, 10:35:05 AM