喜村

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1/7/2023, 11:54:12 AM

 雪はひらひらと舞いとても綺麗に見えるのは、あまり雪をお目にかからない都会の人の幻想である。

 雪が降ると聞けば、何時に起きようか計画をたてて、寒いと思って着こんで雪掻きをすれば、すぐに暑くなる。
 腰は痛くなるし、腕はぷるぷるしてくるし、足はがくがくするし、たまに背中はつりそうになるし、指先はがちがちになるし、末端は隠していないと取れるんじゃないかと思う。
 みんなは綺麗な雪しかみていないようだが、雪国にとってはすごい重労働である。

 ただ、一つだけ言えることがある。
降らないにこしたことはないが、
降らなければ降らないで、なぜか、物足りない。
 あれ? 今、冬だよね?
 
【雪】

1/6/2023, 12:17:20 PM

 学校が休みである現在、冬休み中。
外は寒く、ちらほら雪さえ舞っている年始。
 俺には付き合って1ヶ月の彼女がいる。しかし、実はまだデートさえしたことがない。
この1ヶ月では、クリスマスやお正月など、カップルには嬉しいイベントが目白押しなのにも関わらず、まだデートはしていないのだ。
 通常であれば、一緒に下校して他愛ない会話をするだけで、どこに行く、ということをしたことがないのだ。彼女と一緒にいれれば、俺はもう満足なのである。
 ちょっと冬休み期間中だから一緒にいれる時間が減っているだけであって。
 それに--
(どうやって誘えばいいんだよ……)
 俺はスマホを片手にため息をつく。
会いたいな、なんて、男の俺から言う言葉なのだろうか。女々しく思われないか?
 悩んでいるうちにも時間は刻々と過ぎていく。
付き合って初めての長期休みに何も進展がない、なんて。
 意を決した。
 コール音一回。速攻彼女は電話をとってくれた。
「あ、もしもし」
『いきなり電話きてビックリしたぁ』
 あぁ、この柔らかい声。これが俺の自慢の彼女です。
「いきなりでごめん、あのさ、今日、一緒に……」
 どこか特別に出掛けなくても、君といっしょの空間があれば、俺はそれでも幸せだけれども。
君といっしょに【特別】を作れることは、もっと幸せだよね。
 いつの間にか、舞っていた雪も目視できない、穏やかな冬の陽が差し込んでいた。


【君といっしょに】

1/5/2023, 10:15:21 AM

 年末年始、例年なら、年越し寒波や新春寒波など、良い天候が続くことは少なかった。
 しかし今年、2023年は一週間以上の晴天。
澄んだ空気、晴れ渡る青空、穏やかな太陽。
どれをとっても清々しい気持ちになる。

 真夏の晴れはうだる暑さ、高い湿度で息苦しさを感じるほどだが、冬は冬の良さがあるのだ。
 真冬は寒くて外に出るのが億劫になるが、晴れていれば気分転換にと外出する気にも少しはなるのではなかろうか。

 クリスマスあたりから始まる豪華なご飯、忘年会にお節料理やお餅、身に付くものもあることでしょう。
そんなあなた、冬晴れな日にはお散歩程度でも運動はいかがですか?


【冬晴れ】

1/4/2023, 1:07:43 PM

 自慢ではないが、俺の親は大金持ちである。
ほしいものを頼めばすぐに手に入る。なんならカードで好きなものを好きなだけ買える。
 お腹がすけば、召し使いがすぐに何かしらの食べ物をあてがってくれる。
 お金があって、食べ物があって、温かな住処もある。衣食住が完璧、これ程の幸せで不自由なことのない生活は、恵まれているという他ない。

 だがしかし、俺は親にあったことがない。物心ついた時から、お母さんとお父さんにあったことがない。
家にいるのは、召し使いだけ。その召し使いも循環がよく、仲良くなる前に辞めていく。

 学校には、友達もいない。名の知れた家柄のため、いじめられることもなく、たかられることもなく。ただ、執拗に絡む人もいなく、挨拶程度の同級生止まり。友達、とまでは発展しない。

 身の回りは充実しているはずなのに、心に何故か温かさは感じない。
 誰もが羨む幸せな生活をしているはずなのに幸福感を感じることは今までなかった……幸せって、なんだっけ?

【幸せとは】

1/3/2023, 1:39:36 PM

 年末年始、私は普通に仕事である。
 早朝5時半、出勤のために車のエンジンをかける。
まだあたりは暗く、年始ともなると車通りも極端に少ない。心なしか空気が綺麗に感じる。
 本来であれば、早番に回されることもないのだが、今の期間は時短営業でしかも従業員の人手も少ないため、これから仕事をぶっ通しで12時間程してくる。
(……さむっ)
 車が温まるまで、私は体を縮める。早朝って、こんなに寒いんだっけ、久々すぎて忘れていた。
 そんな時、山あいからうっすらと薄紅色の光が見えた。日の出の時間らしい。早番じゃないと拝めない光景である。
 初日の出、ではないものの、透き通った空気にキラキラと輝いて見える。年始だからか神々しく感じられた。
 綺麗だな、とは感じるものの、陽の光は夏の太陽のように温かさは与えてはくれない。でも--心は温かく感じた。
 はぁ、と息を吐くと車内のはずなのに白くなる。
「さて、そろそろ行きますか……!」
 日の出に元気をもらい、私はハンドルを握った。


【日の出】

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