過去の失敗
気が付けば、目が掠れ
気が付けば、頭痛が止まらず
気が付けば、体が宙を舞ってるみたいで
気が付けば、身体に力が入らない
気が付けば、寝返り打てず
気が付けば、社会から孤立した
それまでは バイトしつつ 何度も通院し
何種類もの薬を試し
主治医が『分からないね』と言うまでは
病院を何度も変えてみて
それでもダメで 途方に暮れた
何度も踠いて苦しんで
それでも"生きたい" "死にたくない"と
何度も願い祈り念じても
叶う日は来なかった
何がダメなんだ 何がいけないんだ!
自分の何を直せばいいんだ!
それを見ていて 見放してた家族
何のために存在してんだ!
こんな家から出てってやる! と
何度も何度も 思い当たる方法を試した
SNS をした
詩を書いた
ショーとストーリを書いて
小説にもチャレンジした
小学生の頃から嫌いだった国語 作文 読書感想文
習字以外の読み書きだって
どうにかならないか?と 試行錯誤を繰り返した
変われるものなら 変わりたい──
何度試みても 書き直しても
納得のいくモノは生み出せなかった
もう 頭も限界か……
とある主治医の紹介で 人生初の入院
やっと合う薬が見つかって 眠ることもできてきた
社会復帰を夢見て 身体を酷使
来る日も来る日も 千羽鶴を折り続けた
800羽を越えた頃
退院迎え 家での生活
徐々に体力は削られてった
『何してる!
家にいるなら やることやれや!
なぜ逃げる!
鍵閉めたって 意味ないよ~』
来る日も来る日も 祖母の嫌がらせ
優しさなんて微塵もない
避けてきた寝たきり生活
引き込もったって 解決しない
分かっていても 他に術はなかった
あんな過去
もう二度と戻りたくない
ーもう二度とー
あなたと喧嘩した日は、いつもそう
悩んで、苦悩して、もめて、妬んで──
側に居られない、話せない
"今、忙しいんだ" と、あしらわれて
あなた無しじゃ、生きてけないのに……
私の心は、今日も雲り
ー雲りー
あの人は
遠くの地へ行ってしまった
会いたくても
連絡の取れない遠くの国へ
学校は違えど幼馴染みで
喧嘩もした
我が儘も言い合った
異性だとは微塵も感じさせなかったあの人
昔の日々に思い馳せても
今では戻らぬ虚しさ
もう半年
毎日のように見ていた録画や写真も
今では見なくなった
寂しさが募る、悲しみも増える
そんな日々の繰り返し……
また、どこかで会えるよね──
心のどこかでそう願って
暫しの間 bye bye...
ーbye bye...ー
「綺麗だね~」
窓越しに、長い髪を掻き上げる背中
「さっき見たぁ?めっちゃ綺麗だったでしょ?」
振り返る満面の笑顔
3月の終わり
今年は暖冬だった影響で、桜の開花が早まっていた
時々吹き込む春一番の嵐に、桜の花弁が耳を掠める
「まさか、見れるなんてな」
制服姿に身を包んだ胸元
校章がキラッと光を放つ
今日は離任式
今年卒業を迎えた俺達も、母校を訪れるため、通い慣れた通学路を通っていた
「今日でこの通学路も最後か…… 先生は、誰が移動しちゃうんだろうね?」
悲しげな顔をし、遥か遠くを見つめる君
「そだな、最後だな 誰だろね?」
答えに迷う俺なんかを横目に、君は桜散る景色を眺めている
「この景色も、これで最後か……」"ビュールルルル"
突然、強烈な風が窓から吹き込んだ
「え~っ?何か言ったぁ~?聞こえな~い!」
君は、乱れた髪を押さえることで、必死みたい
「なんでもない!ただの独り言!」"ビュールルルル"
尚も強く吹く風
今日の日が終われば、君と過ごしてきた日々ともお別れか
別々の学校 別々の通学路
住む県だって変わるというのに
「うわぁ~、凄い! 見て、桜吹雪だよ?」
俺の思いとは裏腹に、はしゃいぎ楽しむ君
早咲きの桜なんかより、離任式の事なんかより……
楽しそうな君の姿が愛おしくて、たまらないんだ
ー君と見た景色ー
人は、人生で何度、手を繋ぐのだろう
生まれた時は……
幼少期の頃は……
青年になった頃は……
大人になった頃は……
老後は……
多分、既に数えきれない
これほど多く手を繋いでいても、記憶に残るのは数える程度
『皆、必死で生きている』
その証拠なのかもしれない
人によって、手の繋ぎ方はそれぞれだ
同性 異性
温かな手 冷たい手
力強く握り返す手 フワッと乗せる手
ゴワゴワな手 軟らかな手……
まだまだ存在するのかもしれないが、今上げただけでも、かなりの数がある
それは、見た目によらない
もしかしたら、手を繋いだ人に対する、心の鏡なのかもしれない
手を繋いで、これからどこへ行こうか?
その先に、幸せがあることを、心より願う
ー手を繋いでー