10/2/2025, 1:35:37 PM
遠い足音
いつも隣にいたはずなのに。
私のせいだよね、ごめん。
気まずい思いをさせるくらいなら、
何も言わなければよかった。
2/14/2025, 12:21:36 PM
『ありがとう』
現地での言葉はわからないけれど、どうか伝わって。
身ぶり表情。手を合わせる。お辞儀。
習慣が違うのはわかっている。
それでも。
2/13/2025, 1:48:45 PM
『そっと伝えたい』
そっと伝えたい。
君の肩にカマキリが乗っていること。
いい写真になりそうだから、カメラを構えて。
2/12/2025, 1:10:01 PM
『未来の記憶』
「未来の記憶をお売りしますよ」
と仮面の人が言った。
「それは有益なんでしょうね」
尋ねると、仮面の人は首をかしげた。
「それは人によります」
ともあれ、買ってみることにした。
後で話のネタになると思えば、金額はそう高く感じなかった。
記憶の種なるものをひとつまみし、口へ放り投げる。ほんの少し苦味を感じた。
肝心の記憶といえば、平凡なものだった。病院らしきベッドで横たわる自分。しわくちゃな手を握りしめている誰か。遠くなっていく意識。
意識が戻ってきて、仮面の人に感想を言った。特に予想外の面白いところはなかったと。
「未来の記憶は推理小説でいえば、犯人がわかるところを読むようなこと。恋愛映画でいえば、二人が結ばれているシーンを観るようなもの。普通の人は最期のシーンになるんでしょうねぇ」
人生は物語のようなものではない。劇的な人生でなかったことを、むしろ良かったと思うべきなのだろう。
平凡な人生の幕引きに少し安堵した。
1/12/2025, 1:40:44 PM
『あの夢の続きを』
前に見た夢の場所。
その場所にそっくりなところにたどり着いた。
道路標識、踏切、蔦が生い茂った家、遠くの山に落ちる日。
あの夢と同じなら、眩しい夕日の先に君がいるはず。
今度こそ声をかけるために走り出した。