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9/3/2023, 12:23:21 AM

お題:心の灯火



『だから、こんな作品じゃダメなんだよ。一回で理解してくれェ。』

夏休みが明けた小学校。
今は、俺の提出した自由研究の作品『世界の正しさとは』についてバカな糞尿持論で論破しようとする俺よりガキな担任の老人と話している。

「はいはーい」
『だからさァ…………』
「だから?」
『そもそも、こォんな学校で出せないような作品じゃなくてさァ…というか、小学生のする研究じゃないでしょォ…』
「それはお前の主観だろう?」
『というか、小4にしては精神年齢が高すぎるんだよォ。』
「お前みたいな大人がいるからな。」
『はァ…ともかく、これは校内のグランプリに応募させないからァ……』

それは困る。てめえみてぇな野郎が淘汰されずに残るというのは困る。
この正義感が歪んでいるとしても困る。

「じゃあ、お前は正しいのか?違うだろ。俺にとっててめえは悪そのものだ。象徴。」
『先生にソウイウ言動は…』
「ただ俺より老いてるってだけで好き勝手できると思うのか?ただ年齢が高いだけの輩には言われたくねぇ。」
『だからトモダチいないんだよォ?』
「これは、書き直す必要があるな…」
『そうだよ。こォんなチンチクリンな文章じゃなくてさァ…』
「いや、違う。お前は悪と追記しておかないといけない。言動の一つ一つは的を射れていないし、偏見が強い。偏見なんて偽善どころか善してない俺でもある消せないものだが、これまでの会話をしっかり聞けば、異常性がはっきり解る。」
『ハァ?』
「要約すれば、てめえは偏見まみれで罵倒しかできない善ぶった悪ってこった。てめえみてぇな老害にはこういう冊子の必要性がわからねえだろうが、こういうもんが今時の若者に必要とされてんだ。」
『老gwzwsでえdっrっfrtgっtgっyふうじこlっpっわ○xsrgtrんmk』
「その程度の語彙で莫迦が言えることではねえ。」

これで皆の心の灯火が点くといい。意見がまともにない、流されるだけ流される無能な奴ではなく、ちゃんと自分の意志がある奴が増えてくれるだろう。

9/1/2023, 11:45:56 AM

スマホの電源なくなって、
通知が限界突破したまま放置してるラインが開けない。
ちなみに、通知はほとんど家族か公式アカかネットのお友達。
悲しいというより虚しい。
そして一人で勝手に虚しくなっている間にも通知がどんどん溜まっていく。

……そんなことより、早く充電して処理しようか。

『開けないLINE』

8/31/2023, 12:11:52 PM

未完成の絵や、未完成のゲームなど、世の中には『不完全』なものがあふれている。
それと同じで、人間にも『不完全』な人がいる。
根拠は、この僕。
僕には、いくつも才能がある。お絵描き、数学、作文、英語……数えればキリがない。
で、なんで僕が不完全かって?
いい絵を描いたり、数学の公式解いたり、作文を書いたりできるのに、そのどれもが『不完全』なまま。描くのを諦めた絵は数知れず。未完の小説も、軽く2桁は越えている。時々頭の中で思い浮かんではふっと消えていく物も含めれば、3桁は確実だ。いや、4桁行くかも。
故に、僕は『不完全』な人間だ。

『不完全な僕』

8/30/2023, 11:17:59 AM

いつも、彼女からは爽やかな香りがしていた。
彼女いわく、『自分の好きな香水をつけることで気分がアガる』んだそうだ。
確かに、言われてみればそうかもしれない。
気分の乗らない日も、好きな曲を脳内で流しまくって無理矢理気分を上げる、みたいな。

でも、もう彼女から爽やかな香りはしなくなった。
なんでか、って……
彼女はもう、香水をつけて気分をアゲる必要がなくなったから。


『香水』

8/29/2023, 12:22:23 PM

今日、午後2時、どちらかと言えば田舎の交差点。
少しコンビニなどが建っているものの、周囲の見渡しは良好。
しかし、この時間帯はやはり暑い。だから人は全くいない。……強いて言えば、若い男女と幼稚園児ぐらいの女の子が横並びで歩いている。家族だろう。三人とも、リュックサックを背負っており、男は子供が好みそうなキーホルダーが付いたスーツケースの持ち手部分を持っている。セミの鳴き声をバックにスーツケースのキャスターが転がる音が響く。それが、どこか懐かしく感じた俺は、歩道に生えている小さな雑草をぼんやりと見つめる。
思い出にふけっていた俺を現実に引き戻したのは信号機が赤信号を告げた時。
転がる音が止まり、後に響いたのは鈍い、グロテスクな音と叫び声だけだった。
それに驚き、俺の視線は上に動く。
それと同時に、俺は息が詰まった。

血に塗れた車道と歩道。
涙を流し、声を上げる先程の家族。……その中に、女の子は居なかった。
あるのは車の近くでぐちゃぐちゃになっている女の子らしき肉塊だけ。
しばらく息も、思考もまともに出来なかった。
……信じたくなかった。先程まで、あんなに幸せそうだった家族が、一瞬にして不幸になったのだ。


事故の後。
様々な作業……記憶は無いが、大変だったことだけは覚えている。
そんな作業が終わり、帰路についた時。
近所の、全く関わったことのない人……主婦らしき人々の会話が聞こえてきた。
……あの子の母親は、生まれつき妊娠できない体質だったそうだ。
少し視線が下に向き、足取りが重苦しくなりながらも、無事に家には帰れた。
そして、あの事故はどうして起こったか、というと。
完璧に、車に乗っていた人の過失だった。
信号無視。彼が行った行為はそれだけだった。それだけのことだったのだ。
あの時、記憶から消したくても消せないあの時。信号機は、運転手の彼に対して赤信号を告げたのだ。
事故の後、彼は、速攻で思い付きそうな薄っぺらい謝罪の言葉を述べた。
違う。肺の上側に溜まっているような学生のジョーク程に薄っぺらい言葉はいらない。心の奥底で自分の小さくて大きな業のことを後悔しているか、人の死を悼んでいるかを知りたい。俺は被害者では無い。俺が言えることではない。彼女らの苦しみは彼女らにしかわからないんだ。
それでも、どんなに被害者が苦しんでいようと、法律とやらに従うことしか上の奴はできない。
やり場を無くした真っ黒の感情は、心の奥に積もっていく。
底が見えなくなって、ただの闇になっても、無慈悲に積もっていく。
どうしたら良かったのか。
今となっては、何もわからない。



お題:言葉はいらない、ただ・・・

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