『衣替え』
服を畳んで、引き出しへ。
服を畳んで、引き出しへ。
単純作業を繰り返す。
そして、いざそれが終わったら、
「あっつ……」
気温が上がる。
もうクローゼットの中は冬服しかない……。
『声が枯れるまで』
これは、一人の神様と一人の青年の話。
__遠い遠い、昔。
「~~♪」
なんてことないラブソングを歌う俺。
『やっぱり、上手いな……俺もそんな風に歌えるようになりたいや。』
お前の羨ましい眼差しが、とても嬉しかった。
憧れられていることが嬉しかった。
それよりも、お前が聞いてくれてる事が嬉しかった。
昔からこうやって好き勝手歌ってたが、お前のような奴は初めてだった。
それの1ヶ月くらい前。
出会いは、本当に突然だった。
「ーー……」
樹林の奥で、今よりも感情を出さずに歌っている時。
『……!誰か、ここにいるのか……?あ!』
アイツは、道路がある方の木々を掻き分けてその姿を見せた。
「……!?……お前、俺が見えてんのか。」
『……?』
「いきなり言われても分からねぇよな。所謂『神様』って所だ。ほら、触れてみろ。」
アイツは俺の手に触れようとする。
『……触れない?』
だが、アイツの手は、俺の手に触れることもなく、そのまますり抜けた。
『……そんなこと、あるわ、け……』
アイツの手は、俺の首に触れようとする。
だが、またしてもすり抜ける。
「それがあるんだよ。俺は『声の神様』って所じゃねぇか?」
『……本当にあるんだな、こんなの。』
ずっとずっと、ここで孤独に歌っていた。
誰も俺に気付きなんてしなかった。
気づけば、辺りに建物が建っていた。
それでも、俺の周りには誰も居なかった。
『……触れる。』
「神様だからな。お前が俺に触れられるようにするのなんか、簡単だ。」
冷めた瞳をしたお前の手は、とても暖かかった。
お前は段々老けていく。
そしてじきに居なくなる。
……お前が居なくなってから、何千年が経ったのだろうか。
「~~~~」
お前が教えてくれたラブソングを歌う。
お前が教えてくれた暖かさを思い出す。
お前が教えてくれた寂しさを酷く感じる。
決して枯れることはない声で歌う。
この世に居ない人に対する、愛の歌を。
『始まりはいつも』
『ねぇ~~一緒に遊ぼうよ!』
「はいはい。そこまで言うなら……。」
始まりはいつも、君の声。
『子供のように』
子供のように、わちゃわちゃはしゃげる純粋な心が欲しいです!!!!!
『カーテン』
朝早くの、暗い部屋に差し込む光。
目が覚めた私は、その光の出所であるカーテンを開ける。
__そこには、うまく言えないが……幻想的な世界が広がっていた。
映画のように、誰一人いない町。
____そんな朝、体験してみたいなぁ。