NoName

Open App
8/28/2023, 12:30:03 PM

明日からまた平日だぁ……
仕事とかクッソだ~~るい。もうおうち引きこもる。
それができるなら苦労しないんだよなぁ……。

ピンポーンと、突然インターホンが鳴る。

「誰だよ……」

友達はいないし、家族がこっちにくるとは聞いていない。
イライラしながら玄関の扉を開けると、

「誰ですかぁ~?」
『N○Kの集金です。』
「うちテレビないですよ。」


『突然の君の訪問。』

8/27/2023, 12:44:08 PM

今日、最愛の人に裏切られた。

今日、誰かに罵詈雑言を言われた。

そんな日は、自分が雨の降り注ぐ町の中に一人、佇んでいるように感じる。

『雨に佇む』

8/26/2023, 12:34:02 PM

『私の日記帳』




廃墟から見つかったこの本の表紙には、『私の日記帳』と書かれていた。
1ページに書かれている内容は、2、3行ほど。
一つ一つの文は、意味をあまり為していない。

~以下は日記の文章~

1日目。(8/1と記載されている)
ここは良いお家だ。
とても良いお家だ。

2日目。
十分にある。
あれは十分にある。

3日目。
外から会話が聞こえてきた。
親が探しているようだ。

4日目。(このページだけ、一部がちぎられた形跡がある。)
も うお  うち  にいられない。
アノか、た がえ  ってく る

裏表紙には、『あのか』と書かれている。7月の終わり頃失踪した子だ。

以降のページは白紙だったはずだ。


8/25/2023, 12:59:38 PM

『向かい合わせ』



俺は、高校の美術の教師で、今は生徒と個人面談をしている。



『どう思います、こういう絵…』

彼は、俺が特に一目置いている生徒だ。
その本質は、『変人』と思って差し支えない。

そんな彼の描いた絵…今見せられている物だ。
線はぐちゃぐちゃ。色も線からはみ出ていたり、塗れていない所がある。
構図は、人と人が向かい合っているという、とてつもなくシンプルな物だ。
背景は、うねうねした線が原色で描かれている。

「…色塗りが下手クソだ。」
『僕は、上手いとか下手とかどうでもいいんです。』
「何故だ?絵が上手ければ、何でも良いじゃないか。」

彼にとっては、息が詰まるような空間だろう。

『……』

「…………言いたい事はそれだけか?」

『…では、お聞きしますけど。』

「はぁ。」


『先生にとって、『絵を描く』ということは、なんだと思いますか?』
「……質問の意図が読めない。何故聞く。」

『………質問を変えましょう。先生、絵で一番大事なことは、なんだと思いますか?』
「勿論、線の綺麗さや細部まできちんと描く事___」
『違う。』

彼は言葉を遮る。このような事態は、想定外だ。

『……違うんです。』
「待て、どういう事だ。俺は__」
『逆に聞きます。『感情のこもっていない絵』は、綺麗に見えますか?』
「…おい_」
『『描きたくて描いた訳で無い絵』は?』

言葉に詰まりながらも、何とか返答しようとすると、

『……貴方が学校に来て、早々に感じたんです。
貴方は、本当は『絵を描きたい』なんて思っていない。
裏に込められたメッセージでさえ、どうでもいい…そんな感じ。』
「教員には敬語で__」
反論も許されず、
『貴方にとって、絵というのは一体何なんですか?
只、上手いか下手かだけで評価できる世界では無いんです。』

「…………何を言いたい。」

『……貴方は、僕がこの絵に込めた思いも、何も考えていない。
独善的に、絵を判断している。』

『……この絵から、何を感じ取れますか?』

「…何処と無く緊迫した表情だな。背景から考えると、『混乱』か?」

『…こうして見ると、僕たちにそっくりじゃないですか?』
「……ああ。目も微妙に上に寄っていて、三白眼気味になっているな。」
『そういう所までは意識してませんけど。』

「逆に、お前にとって絵を描くというのは、何だ。」
『…『楽しくやる』。それだけです。』

8/24/2023, 1:47:40 PM

『やるせない気持ち』

あの時、何かできたはずなのに。
あの時、あの子のヒーローになれたはずなのに。
あの時、絶えず笑っていたのに。
どうして……?

『……考えてももう遅い』
「っ!?」

最近、幻聴が酷い。
あの時、命の灯火が消えかけている時も、絶えず笑っていたのに。
僕は命が保証されてる空間でも笑えない。

『お前のせいであの子は死んだんだ、救えたくせに、あの子の苦しみなんて知らないくせに。』

「……」

ふと、あの時の記憶が蘇る。

『ねぇ、最期にさ……。君が自分を許せなくても、生きて…約束、破ったら、全力で恨むから。』


「…僕が自分を許せなくても……か。全て、彼女は見抜いていたんだろうな…。」

Next