Nonoka

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4/16/2026, 10:18:42 AM

『いつの間にか消えてしまった』

あなたにはあって
私にはないもの

過去の私にはあったけれど
今の私にはないもの

あなたはどうしてずっと
やりたいことに真っ直ぐ
ひたむきに追いかけられるのだろう

かつての私も
誰かにとって
あなたのようなものだったのだろうか

いつの間にか消えてしまった”それ”は
もう私の元には現れない

だからこそ
今”それ”と向き合っているあなたは
いつかはなくなってしまう
”それ”をどうか大事にして

そして
できるだけ長く
そのままでいられますように

もう大人になってしまった私は
まだ大人じゃないあなたに
このメッセージが届くようにと
私が持つ最後の「夢見る心」を手放して

これを託す




お題【夢見る心】

4/14/2026, 10:59:47 AM

『不可解なこと』

「映画観に行こうよ」

久しぶりに家に来た幼馴染が唐突にそう言った。

「映画ぁ?」

普段は映画なんて全く観ない幼馴染が映画だなんて、槍でも降るのだろうか。私が誘ってもついて来たことないくせに。

「別にいいけど、急になんで?」

そう聞いてみたものの、

「いいからいいから、行こう!」

はぐらかされてそのまま映画を観に行った。映画はよくあるSFで、結末が容易に予測できるようなものだった。上映中も幼馴染は私の方をチラチラ見ながらニヤニヤしていた。映画に集中しなよ。

映画が終われば、幼馴染は「用事があるから」と足早に帰って行った。

「じゃあね、ありがとう」という言葉を残して。

ー結局のところ、私が幼馴染の真意をその口から聞くことはなかった。

翌朝、幼馴染のお母さんが家を訪ねてきたのだ。黒い服を着て、泣き腫らした目で。

聞けば「おやすみ」と言って部屋に行き、それきり戻って来なかったのだという。

幼馴染が病気だったという訳でもないし、どこか悪いところがあったという話も聞いていない。昨日も元気そうだった。

ただ、幼馴染は昔から勘が鋭く、自分の身に何かが起こることを予期していたのではないか。思い違いじゃなければ、そうだから私と映画に行ったんじゃないの。

昔、幼馴染が言っていた。

「神様はいるんだよ。神様はなんだって教えてくれる。明日の天気も、今日の晩御飯も、何もかも」

私はその時幼馴染の言葉を信じていなかったが、今は少し変わった。

もしかすると幼馴染は本当に神様から知恵を授かって、これから起こることを予期していたのではないかと。それでいて、幼馴染は何事もなかった顔をして私と過ごしていたのだ。

神様、幼馴染と最期に映画に行けたことについては感謝しています。

でも、知恵を授けるくらいならどうしてこんなにも早く幼馴染を連れて行ったのですか。


お題【神様へ】

4/9/2026, 2:47:05 PM

『知っていた』

ねぇ、もし

「どうした?」

君のことが、昔から

「俺のことが?」

誰よりも、ずっと

「ずっと?」

好きだった、って言ったらどうする?

「はっ、そんなことか」

そんなことって、なんで

「じゃあ逆に聞くけど」

なに?

「俺がお前の気持ちに気付かないような奴だと思ってたのか?」

え?

「お前の気持ちなんてとっくの昔に気付いてんだよ」

そんな、ことって

「お前こそ気付いてないのか?」

何に?

「俺が、お前のことを昔から誰よりも好きだってことだ」

……!


お題【誰よりも、ずっと】

4/2/2026, 1:42:52 PM

『この空欄に当てはまるものは?』


A.

或る人はそれを愛だと云い、


また或る人はそれをお金だと云う。


彼女は友人だと云うかもしれないし、


彼は恋人だと云うかもしれない。


貴方は……何と云ったのだったか。


巫山戯てわたしが訊いた時、


貴方は小さな声でボソッと、


聞き間違えでなければ……、と云った?







それはともかく、わたしはこう答えよう。




それは貴方だと。




Q. あなたの一番大切なものは何ですか?


お題【大切なもの】

3/31/2026, 6:02:23 AM

『5年越しの手紙』

拝啓

 冬の終わりが近づき、暖かな日差しが降り注ぐ季節になりました。あなたはそちらで元気にしていることでしょう。

 あなたがいなくなったのも、こんなふうに陽気でなんて事のない日でしたね。あれから5年の月日が経ちました。この節目に、私は初めてあなた宛の手紙を書きます。

 あなたは気付いていなかったかもしれませんが、私を含めあなたの周りの人たちはみんな、あなたの様子がおかしいことに気付いていました。でも、あなたはきっと私たちにいつか打ち明けてくれるだろう、と信じて何も聞かずにいたのです。何気ないふりをして、あなたとのこれからを疑ってすらいなかった。

 初めの頃、私たちはひどく後悔していました。どうしてもっと早くに尋ねなかったのかと。尋ねていればあなたはきっと困りながらも教えてくれたことでしょう。でも、しばらく経って私たちは間違っていなかったのかもしれないと思うようになりました。あなたは私たちを信じていたからこそ、何も告げなかったのですね。私たちはあなたが去っても大丈夫だと信じていたのですね。

 それは半分正解で、半分間違いです。確かに私はあなたが去った後も毎日いつも通り過ごし、たまにニュースで盛り上がり、あなたが去る前と変わらぬ暮らしを続けていました。でも、ふとした瞬間にあなたがいた頃を思い出すのです。今この瞬間もあなた宛に手紙を書いているというだけで、あなたとの思い出が次々に浮かんできます。

 つい、私の話ばかり書いてしまいました。あなたにこの手紙が無事届くのならば、あなたのお話が聞きたいなぁ。

 この手紙が、どうかあなたに届きますように。

敬具




お題【何気ないふり】

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