【お題:明日、もし晴れたら】
「ねね、ちーちゃん。あしたはれたらおそといこ!」
可愛いいとこの懇願が聞こえる。
「みーちゃんお外で遊びたいの?」
「うん!」
未央ちゃんは元気だな~と思っていると、
「ちーちゃんおそとであそんでくれないの?」
あれ?雲行きが怪しくなってきたぞ?こうなった時未央ちゃんは泣きだs
「うわあ~ん」
嫌な予感が当たったわ。
「こらー千尋!未央ちゃん泣かせちゃダメでしょ!」
お決まりのパターンツーコンボ。ここまできたら逆に幸運かもしれないな。
「はぁ」
しょうがないな。と思いながら言う。
「明日、もし晴れたら外行こうか」
【お題:嵐が来ようとも】
「ねえ、先輩」
隣で本を読んでいた背の高い男に話しかける
「おや、どうしたんだい?」
彼は疑問を含んだ声でことばを投げ返す。
「先輩はずっとここにいてくれますか」
ひどくわがままな質問を先輩に投げ掛ける
「うん。いるよ。急にどうしたんだい?」
ひどく優しい声色でそう言う。
「先輩が卒業したらここにきても何処に行っても孤独だ。とそう思うんです」
「ふむ、確かに卒業すれば1人になるがそれは元からだろう?今も孤独なのは変わらないさ。」
優しい声色で私を説得させるような、いや、説得させられるような声だと感じる。
「...確かにそうなんですけど、先輩の優しさに触れて私、壊れたみたいです。」
「まるで自分がロボットであると言うような言いぐさだね」
ロボット。それが私を言い表すのにぴったりだと思う。先輩は私が自分のことをロボットって言うのはよくないと
思ってるみたいだけど。
「...何も感じなかった私が先輩と会えなくなる。それだけのことに心が揺り動かされるなんて不思議な感覚です。
この気持ちはなんでしょう。こんなの辞書にも乗ってませんでした。」
「その気持ちはね、恋って言うんだ」
「でも私、先輩のこと特別好きじゃありません。」
おかしいと思って否定すると先輩は苦々しく笑った。
「今は分からないかもだけど、いつか気づいてもらえるといいな」
「そう言うのなら、先輩は私のこと好きなのですか?」
「うん。そうだね。キミのことが大好きだよ」
「じゃあ、例えどんなときでも屋上で会おうよ」
「もちろん、キミが来るまで待ち続けるよ。例え、嵐の時でもね。」
「本当だね。」
「嘘は滅多に着かないよ。」
「...私、先輩のことずっと待ってるから。じゃ」
そう言って屋上を立ち去る。少し顔が暑い気がするけど、きっと残暑のせいだろう。
【お題:神様が舞い降りてきて、こういった】
「キミの願い事、一つだけ叶えて上げるよ」
「...はぁ?」
「おや、信じていないようだね。」
「信じていないっていうか、誰。」
「僕かい?僕は神様だよ。偉大で、天才な、ね」
「帰っていい?」
「待ってよ」
「ヤダ」
「叶えたいことないの?」
「ないよ」
「ほら、そうだ!キミの好きな人と両想いにして上げるよ」
「いらない」
「なんで!?」
「好きな人が私を好きになってくれることは嬉しいよ。でも嘘で作られた恋愛感情で私と恋愛するのは違うでしょ」
「記憶まで改変してその意識を刷り込むから嘘じゃないよ?」
「そうじゃないの。今のままのあの人が好きにならないと意味ないの」
「ふーん。変わってる人間だね。大抵の人間はこうやっていうとこの話に乗っかるのに。」
「はいはい、私は変わってますよ~」
「まあ願いがないようならいいよ。じゃあまた会うことはないだろう。人間。」
「はいはい、こっちから願い下げよ。神様」
そうして神様は消えてった。
鳥の羽はもがれた 【お題:鳥かご】
彼女は鳥かごのなかに入れられた。いや、牢獄。しかし鳥かごという表現の方がしっくり来る。
彼女は鳥のような人だった。自由奔放で広い世界を飛び回る。そんな彼女が今鳥かごのなか。
彼女は罪を犯した。彼女は国の軍の第二部隊副隊長。そんな彼女は隣国のある少年を逃がしてしまった。
彼女はだから今、鳥かごのなか。でもそろそろ、彼女は鳥かごのなかから出ることになる。
だって彼女は今日、この城の前の大きな広場で、
処刑されるのだから。
ほら、今、彼女がやってきた。背筋を伸ばし、最後まで副隊長としての威厳を逃さないようにしている。
彼女は僕に気づいたのか優しい笑みを少しこぼす。そして彼女は処刑台に移動する。そして、
女が手を離す。
そして今、
鳥のはねはもがれた。
【お題:友情】
友情。それってなんなのかよく分からない。だから、私より5つくらい上のソフィアに聞いた。
「友情ってなに」
「え?」
ソフィアは何を行ってるのか分からないというような顔をしてこっちを見てくる。
「え?他のドールの友達でもできたんですか?」
ドール。貴族の従者であり、嗜好品。ある研究者が作り上げ、王様の娘に5歳の頃献上したことから、
5歳になった貴族の誕生日プレゼントとして渡すようになったもの。
もちろん人形だからなにも食べないし寝ない。だから、自分の主人が寝てる間こうやって他のドールに関わることが
ある。
「ううん、エリン様が読んでた本に書いてあった。」
「へ~。エリン様は読書家なんですね」
「アリス様だって読書家。」
アリス様って言うのはソフィアの主人。物腰柔らかでいい人だった。
「友情って言うのは、友達を大切に思う気持ちなんじゃないですか?」
「でも私、友達いない。」
「え~、私は友達じゃないんですか!?」
「ソフィアは先輩。」
「う~ん、なんか距離があって寂しいですが、まあいいでしょう!」
「そういうものなのかな。」
「え?何がですか?」
「ううん、なんでもない。」
「まあルーナにもいつか友達ができますよ!」
「急に話変わった。」
「えへへ...」
「...本当に私にも友達できる?」
「はい!本当ですよ」
「そう。」
「あっ、そろそろ主人が起きる時間じゃないですか?」
「そうだね。」
「じゃあ、またあいましょう!」
「うん。バイバイ。」
友情。私にも友達できたら分かるかな?