ぽこんた

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5/27/2022, 12:30:45 PM

さぁ、始まりますよ、毎年恒例の熾烈な争い!!
家族一丸となって頑張りましょう!!!
実況は、これまた毎年おなじみの放送係が
担当いたします。


ぱぁん!!!!


赤いバンダナがお似合いのお母さん!!!
開始と同時に勢いよく走り出しました!
その後ろにピッタリとくっついているのは、息子さん!
親子の連携が素晴らしい!!まさに神がかった二人三脚です!
狭い通路も何のその、オリンピアン顔負けの滑り出し!

先頭がコーナーに差し掛かります!!!
この戦いの最大の難所、転ける人続出の直角カーブ!
障害物を避け、華麗なターンを決めたいところ。

おおっと!!!!!
ここで、白の帽子が印象的な女の子!!!
赤組をとらえた!とらえた!とらえた!
越したああぁぁぁぁ!!!!
外側から颯爽と追い越しました!!
女の子の背中を上手に支えるのは、筋肉隆々お父さん!
こちらも素晴らしい走りです!ブレがない!!

コーナーを曲がればゴールまで直線です!

誰が勝利の栄冠を手にするのか!!!
熱い闘いです!!!!


お題:天国と地獄
題名:『いつも隣に庶民の味方、格安マートの創業祭。先着50名様、高級たまご1パック98円、1人3パックまで(ご家族様2名まで)※店内競争での負傷は自己責任でお願いします』


流れ出すと脳内自動再生が止まらなくなる曲ベスト5に入っていると思う。

5/24/2022, 12:47:32 PM

友人から、放課後に生徒指導室へ行くよう伝言を受けた。
私を呼び出したのは、大好きなあの人。
先週、私はその人の机にラブレターを入れておいた。
とても真面目で誠実なあの人の答えは分かっているけれど、どうしても伝えたかった。

自分一人の足音、部活に励む生徒の声、私の心臓の音。
不協和音のように重なり合い、私の緊張を高めていく。
早く会いたいけれど、分かりきった答えまでの時間を稼ぎたい。
それでも、校内はさほど広さがないため、苦労せず指導室についてしまった。

「放課後に呼び出してすまないな。」

開け放たれたドアの前で、緊張を落ち着けることもできず、あの人の視界に入ってしまった。
どうしよう、何を言われるのだろう。
体がどんどん冷えていく。
筋肉が石になったかのように微動だにしない。
冷や汗がこめかみをつたう。

「封筒返すよ。今までこんなことはなかったし、何を伝えていいか分からないけど、君は、今の君が一番素敵だと思うから。前を向いてがんばれよ。」

そう言って、職員会議だからと退室をうながされた。
…私は振られたのだろうか。
優しいあの人なりの励ましだろうか。

なんだか煮えきらないけど、案外あっさり受け止められた。
手紙はちぎって紙吹雪にでもしようかな。

そうして、私は屋上へと駆け上った。

お題:あの頃の不安だった私へ
題名:『封筒の中身は、右手と左目をうずかせ、世界滅亡を企てる大魔神を浄化させる乙女(私)の黒歴史小説』

5/21/2022, 12:05:21 PM

上から水が降ってきた。
ぽたぽた、ぽたぽた降ってきた。

わたしが上を見上げると、
わたしのむすめの顔がある。

わたしがどんなに話しても
ぽたぽた、ぽたぽた降ってくる。

どうしてそんなに濡れてるの。
どうして悲しい顔するの。

むすめの顔はびしょぬれで、
拭いても拭いても降ってくる。

だれかむすめを笑わせて!
わたしのだいじなむすめなの!!


お題:透明な水
題名:透明な水


「残念ながら余命は1年でしょう。」

ハンナは、十数年前、父が保護したプードルだ。

その頃、私はまだハイハイをしていて、あまり覚えていないけれど、ハンナが子守をしてくれていたらしい。

私が泣くと父母を呼びに行くし、私が玄関に向かっていくと段差の前に横になって進めないようにしていたそうだ。

私にとって家族の一員で、まだまだ隣にいてくれると思っていたのに。
涙が止まらない。どうしてハンナが。

こうしている間も、ハンナは寄り添っていてくれて、
私の顔を舐めている。涙をぬぐってくれているのかも。
そんな優しいハンナを見ていると、余計に涙がこぼれてしまう。

だれかハンナを助けてよ!
私のだいじな家族なの!!

5/19/2022, 1:13:35 PM

「結婚して隣町に引っ越すの。」

そうじゃないかと思っていた。
このごろ、いっしょに遊べなくなったし、部屋にあがるとものがへっていた。しらない人と、うでをくんでいたのもみたことがある。
それでも、まだいっしょにいれるとおもっていたのに。

しゅくだいが終わらないぼくをたすけてくれた。テストで100点とったらよろこんでくれた。
どうしてだ。どうしていなくなっちゃうの。

「あらら泣いちゃって…。私と会うのは少なくなるけど、大丈夫よね。まだ、ひとり家に残ってるし。」

顔をあげると、おねえさんとそっくりなわかいおねえさんがいた。

お題:突然の別れ
題名:容赦なきフラグメント

5/18/2022, 1:55:17 PM

君に初めて触れた日のことは、今でも覚えている。
はりのある黄色がかった肌は、光を浴びてきらりと輝き、雪のように真っ白なドレスは、繊細な君によく似合っていた。
それまで、君のことは遠目にしか伺うことはなかったが、ある日、母に名前を教えてもらい、それ以降度々顔を合わせるようになった。
人見知りな君は、何度会っても固くつれない態度をするけれど、一歩踏み込むと、守ってあげたくなるような儚さをみせてくれる。
そんな君に一度でも口づけてしまえば、そのなめらかな肌に触れてしまえば、二度と離せなくなるその魔性さが憎らしくも愛しい。
私の最愛よ、ずっとそばにいておくれ。

お題:恋物語
題名:『血圧とコレステロール値が高いですね。たまごは1日1個にしましょうか。』

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