帰り際、貴方に手を振ることは
また貴方に会いたいと思っているから。
帰り際、貴方に笑顔を向けることは
また貴方と話したいと願っているから。
帰り際、貴方が見えなくなるまで見送るのは
いつだって貴方の無事を祈っているから。
二人の夜が明けて、再び朝日が昇る日まで
またね
いつの日も心を沈めるための
場所を求めていた。
目に見えるもの全てが軽くなって、
本当の私が優しくなれるような場所。
孤独な存在なんて微塵も感じない
一生廃れることのない世界に行きたい。
少しでも綺麗に、軌道を逸れないよう生きたい。
汚れた自分が垣間見えた時点で、
私の中にオアシスなんてものは存在しなかった。
『オアシス』
度々人生を遡ることがあると
まるで一本の映画を鑑賞しているような気分になる。
物語には起承転結が存在していて、
常に喜びの時間が続く訳ではない。
勿論楽しい時間が永遠と続いていく訳でもない。
人は未来を予測できない。
それでも、今を生きなければならない。
決して現実から目を逸らしてはならない。
明日世界が滅亡するとしても、
最期の瞬間をたった一人で生きるとしても、
私が私で良かったと、心から思えるような
そんな人生を築き上げていきたいのだ。
『今を生きる』
あまりの暑さに木陰の下で疲れた足を休める。
風に靡く緑葉がそよそよと静かに揺れていた。
手に触れる柔らかな雑草達が
それに応えるようにざわざわと騒ぎ始めた。
やがて握り締めた土にも体温が伝わる。
陽射しも一段と強くなり、
日陰をくぐっているにも関わらず
体の至る所から滝のように汗が流れ出る。
さぁ、休んでいる暇はないぞ。
『揺れる木陰』
夢を見ていた。
早朝から降り続く雨のせいか、
窓から吹き抜ける風は少し肌寒い。
教室のガヤガヤした雰囲気と共に
微睡んでいた意識が現実へと引き戻される。
なんだか愉快な夢を見ていた気もするが、
深いどん底へ突き落とされる夢だった気もする。
つい先程まで覚えていた筈のそれは
あちこちから聞こえてくる声によって霞んでしまう。
なんとも腑に落ちない。
すると次第に
お日様の匂いが鼻を掠め、
開けた雨雲から晴れ間が覗き始めた。
暖かくて 柔らかい
いつか遠い日の記憶を遡るような
そんな空気に包まれながら
再び机に突っ伏していた。
『真昼の夢』