海老body

Open App
6/13/2024, 4:41:13 AM

嫌いは言えるけど、好きは分からない。

っていった巴ちゃん(17)。
自分の嫌いなことはよく口にするけど、好きなもの言わない人って人間としてなんか薄くない?と私が口にした時の返事だった。
部活の先輩が毎度毎度、飽きることなく愚痴ばっか話すものだから、私もちょっと愚痴を吐きたくなった、それだけだった。巴ちゃんが、なんでこのタイミングでそれを言ったのかが分からなかったけど、なんか申し訳なくなって、気まずい雰囲気になったのは今でも覚えている。

じゃあね。

っていった昨日、自殺する前の巴ちゃん(22)。
巴ちゃんは、最後まで自分の好きが分からなかったのかな。嫌いばっかり見えてしまって、世界が敵のように見えたのかもしれない。
私は、あなたの好きにはなれなかった?
生きる理由になれなかったかな?

私達、分かりあえてなかったのかもしれないね。
それでも、そんな巴ちゃんのこと、私は大好きだよ。
またね。


⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌⇌

『玉江 巴』

3/7/2024, 9:37:37 AM

「私達、絆でつながってる?みたいな」
言って自分で恥ずかしくなったのかそっぽを向く君。
でも、耳が真っ赤で何も隠せてないのがかわいい。

つなぐ手から伝わる君の体温。
河川敷。
目の前に広がる夕焼け。

馬鹿みたいだなあ。甘い妄想に浸って。

ピピピピピ……ピピピ…
目覚ましを止める。
あのとき言えなかった続きを、今でも思い出す。


『追悼』

2/27/2024, 11:28:19 AM

平穏な日々だった。
会社では残業続きだったが、信頼できる仲間達と共に夜を過ごし、休日には家でゆっくりと自分の時間を過ごす。
この日々が、ずっと続くと思っていた。
そんな日々が突如として崩れた。

ああ、明日の夕飯は何にしよう。
久しぶりに洋食にしてみようか。

カサッ

………

カサカサッ

もう、やめて……
ゴキブリ……

2/26/2024, 11:29:53 AM

金木犀の香りがした。
振り返ると、髪の綺麗な女性がコートを翻して歩いていて、なんだか私は、恋に落ちたみたいだった。

私は金木犀が好きだ。
だけど、自然の中ではこんなにも可愛らしい甘さを持つのに、百貨店で香る金木犀はなんとも媚びるような甘さで嫌いだ。
常々、人工は自然に勝てないなと思う。

あの髪の綺麗な女性は、金木犀を家に飾っているのかな。
それとも庭に植えているのだろうか。

もしかすると、金木犀の妖精だったのかな。

なんて、いつもの妄想だ。
「私も、金木犀好きよ。あなたみたいで。」

あの彼女の面影をいつも追っている。

2/24/2024, 1:16:59 PM

小さい命って?

お年寄りや赤子など、社会的に価値がない人達のこと?
人間を除いた、知能の低い動物や虫、植物のこと?

赤子や、生まれたての哺乳類動物のことを見て、小さい命や小さき命と呼んでいる場面を見たことがある。
ネットで、あるいは現実で。

じゃあ、成人した人達の命は、対比で大きい命とでも呼ぶの?
なら命とは、体や精神の大きさに比例するものってこと?
そもそも、〝命〟に大きいや小さいなどの形容詞を当てはめていいのかなあ。

私は、命はどんな生命にも平等に与えられた等しい価値のものであって、サイズ感的な形容詞を当てはめるには向いていないと思う。

だって、赤子を小さき命と呼ぶなら、大人は大きい命?
小さいと呼ぶなら大きいも無くては駄目だけど、大きい命っていうのは何に当てはめるのが正解なんだろう。
それが分からない以上、人類史の中に小さい命なんて言葉は存在させてはいけないのでは?

Next