彼氏と友人どっちをとるかなんて、難しい。
電話をした。
電話番号だけ残しておく、あとはブロックするから
そう言われてしまった。
お互い名残惜しい気持ちが見え隠れしていて、最後に顔くらい見させてくれよと思うものの、相手の意思が固すぎた。
不思議と、気持ちは凪いている。
ただ、私の中であなたが限りなく薄くなってしまっても、ずっと覚えているんだろうなという自信がある。
大事な友達、楽に過ごせる友達。
好きになりかけた友達。
幸せに。
これが最後。
電車で座れた…ほっと一息。
外は寒すぎて落ち着かない。
電車の暖房でぬくぬく。
陽の光を背中に浴びてぬくぬく。
ああ…落ち着く。
ふと、前を見ると、ドア横に立つお兄さんが。
ロングコートを着こなして、中々オシャレな人だ。
…ん?
ロングコートの丈の下のほ〜うに、青々とした葉が1枚。
ワイヤレスイヤホンをつけ、スマホに夢中なお兄さんは気づいてもいなさそうだ。
見た目のカッコよさとは反面、少し抜けてる姿にくすっとする。
お兄さん、葉っぱ、ついてますよ。
過去のことは過去のこと。
いつだって、1秒でも先の未来でもより良いものを掴むために私は突き進む。
……なんてことできるわけないじゃん…。
過去の栄光にはずっっと縋っていたいし、未来なんて恐怖しかない!踏み出すのは怖い。過去に浸ってたい!!
…ただのひとりごとです。
喉が痛い。
すぐ声がガラガラとするし、愛想笑いをしようとしたら咳き込んで、すごく無理をして笑ったみたいになってしまった。
冬の冷たい空気は吸うだけで咳を誘因するため、マフラーに顔を埋めた。
ああ…今まで風邪をひかないよう頑張ったのに、なぜ…
Christmasデートにマスクをするなんて野暮な真似はしたくないんだけどなあ。
折りたたみ傘を差した日、傘を玄関に干しておく。
朝また玄関に来ると、その傘が綺麗に纏められて袋に入っていた。
朝起きると、洗濯物が綺麗に畳んで置かれていた。
体育祭の日、お弁当箱を開いたら、ハロウィン間近だからとハロウィン要素の詰まったキャラクター弁当だった。
どうでもいいような、私にだけちょっと嬉しいような出来事を聞いて欲しくて、「ねえねえ」と声をかけたら、こっちにちゃんと顔を向けてくれた。
そんな愛情を、当然かのように受け取っていました。
そんな愛情が、心に沁みるようになりました。
いつもありがとうの一言が、とても気恥ずかしいことに、気づきました。