金木犀の香りがした。
振り返ると、髪の綺麗な女性がコートを翻して歩いていて、なんだか私は、恋に落ちたみたいだった。
私は金木犀が好きだ。
だけど、自然の中ではこんなにも可愛らしい甘さを持つのに、百貨店で香る金木犀はなんとも媚びるような甘さで嫌いだ。
常々、人工は自然に勝てないなと思う。
あの髪の綺麗な女性は、金木犀を家に飾っているのかな。
それとも庭に植えているのだろうか。
もしかすると、金木犀の妖精だったのかな。
なんて、いつもの妄想だ。
「私も、金木犀好きよ。あなたみたいで。」
あの彼女の面影をいつも追っている。
2/26/2024, 11:29:53 AM