6/22/2024, 4:48:36 AM
空から注ぐ朝日の色
ふと目をやった木々の葉の色
日向ぼっこの猫の眼の色
怪しく煙る日没の色
帰りを待った満月の色
名づけ難くて
愛おしい色
「一日のパレット」
6/15/2024, 4:30:52 PM
いま
好きな本
じつは
忘れていた本
けれど
思い出した本
ひとつ
覚えていた詩
たどって
戻ってきた本
ずっと
好きな本
もう
離さない本
「好きな本」
6/14/2024, 3:10:46 AM
雨けぶるなか おおぶりな
玉の花束かかえつつ
征くに征かれず散りもせず
あじさいは 還りたい
わずかな晴れ間 おおつぶな
紫の露たたえつつ
泣くに泣かれず枯れもせず
あじさいは 待ち謡
雲の下にて 濡れてゐる
佇む姿そのままで
あづさえ、あづさえ雨の花
いろいろの 滲む日に
「あじさい」
6/6/2024, 3:15:27 AM
私の秘密は腹の中。
吐き出せやしない奥の奥。
私の秘密は脳の中。
焼いたら無くなる桐の箱。
骨と肺には仕舞わない。
焼けど残るし息に乗る。
私の秘密は脈の中。
堂々巡りの籠の鳥。
「秘密」
6/4/2024, 3:01:06 PM
私の愛しい六畳の部屋。
寝台に本、文机に服、
原稿用紙に鉛筆に、
触る暇なき楽器たち。
夜を仕舞った六畳の部屋。
今朝も日の出の杏の色が、
波間のように差し込んで、
私を放す蓋が開く。
「六畳の部屋」