6/1/2024, 9:49:07 AM
無垢であれかし、
高らかな金糸雀、
目覚め前の都会、
小さき自鳴琴、
片付かぬ文机、
手のひらの林檎。
無垢であれかし、
濃淡うずまく空、
田畑の田舎町、
木製の玩具、
子どもの笑ひ声、
消ゆる魚の尾。
吾では祈りも徒らなれど。
「無垢なるものへ」
5/30/2024, 4:23:15 PM
無い、無い、ひとには無い。
終わりなき旅というものは、
いつか必ず何処かで止まる。
詩も。
歌も。
命も。
終わりないのは、記録だけ。
「終わり」
5/28/2024, 4:16:01 PM
頼りなさげな夏の袖。
そこから伸びるむき出しの、
不安げな白に容赦なく、
陽光ぢりと噛みついて、
目眩の毒をめぐらせる。
「夏の袖」
5/27/2024, 3:47:58 PM
頭の上には空しかなくて
雲をすりぬけ雨は落ちる
なのに、なのにどうして、
天に花咲く国があろうか。
足の下には地があって
岩とマグマで埋まっている
なのに、なのにどうして、
地中に鬼と獄があろうか。
この現世には花々が咲き
常日頃から苦痛がある
なのに、なのにどうして、
それ以上ある死後を願うか。
「天地不要」
5/26/2024, 1:59:37 PM
月に願いを 手に酒を
酒には歌を 歌に間を
間にて再び願わくは、
この悦楽よ、な尽きそと。
「月に願いを」