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6/7/2024, 5:22:36 PM

だいぶ少年らしくはなったと言っても、まだ13歳。
成長しきっていない僕の手は血で塗れていた。

必死に掴んで走ったから気づかなかったけど、華奢な君の手も汚れた血で染まっていた。

土手沿いの薮の中で、震えながら必死に君を抱きしめていた。僕らは声を押し殺して泣いた。


君から相談を受けていた僕は、夜にノックもせず君の家に入り込んだ。

仕事に出ていてお母さんはいない。

君の部屋のドアが細く開いていて、煌々と電気が照らしている下で、セーラー服姿のままで君は養父に覆い被さられていた。

怒りで脳が熱くなるほど僕は冷静だった。静かに近づき思いっきり包丁を振りかざし、養父の右の背中に突き刺した。何度も何度も突き刺した。


僕らは汚れた血で染まった手を繋ぎ、交番へ向かった。

題:世界の終わりに君と

6/5/2024, 8:11:06 PM

看護学校の学費と生活費を貯蓄するため、事務をしながら、休日前の夜や休みの日はデリバリーヘルスの仕事をしていた。

私は不思議と感情を入れることなく、淡々とこなす事が出来る方だった。

それなりの性の悩みを抱えている人も多かったけど、一定の欲求を満たせば大抵の人は満足していた。

坂井さんは既婚者だった。

「妻の事は大好きだけど、子どもが出来てから抱く事が出来なくなった。興奮すると罪悪感に似た感情になる。何故だか自分でも分からない」そう相談された。

勿論、私にも答えは分からない。
だけど、これだけは言える。

「そうかもしれない。でもきっと、奥さんはあなたに抱いて欲しいと思ってる。それは最後までという意味ではなくて、ただ抱きしめてほしい、と」

私達は裸のまま話続けた。
裸の人間は、心までも裸になりたいと欲求するのかもしれない。

題:誰にも言えない秘密

6/2/2024, 7:13:14 AM

小説や文章は。

沢山の人に、分母の大きな整数の人達に届けば、意味や大義が生まれるのかも知れない。

それでも。

私は。マイノリティであっても。

君並びにあなたに届けばいいと思っている。

今。涙している君並びにあなた、の。

代弁者であり、且つ、共有者でありたい。

私は今。

たくさんの涙雨を想像する。

題:梅雨

5/29/2024, 8:02:43 PM

正直に言うと。

彼が欲しかったんじゃないの。

あなたの「もの」が、欲しかった。

何でも持ってるあなたが羨ましかった。

あなたのキラキラした日常のインスタは、毎日チェックしてた。

始めは「好き」だけだったのに、いつの間にか「あなたになりたい」とさえ思うようになった。

真似をしていくうちに「あなたが持っているもの全て」が欲しくて欲しくてたまらなくなった。

だから、あなたの彼に近づいた。

簡単に手に入りそうになったその時。

「あれ、あなたが大切にしているものは、こんなに安っぽいものなの?」って思ってしまい、一気に冷めた。

私は何者でもないことに気付いた。

明日、自分で選んだ自分の靴を買おうと思う。

題:「ごめんね」

5/28/2024, 5:25:45 AM

はっと目が覚める。

いつに無くぐっすりと眠り、周りが明るく感じた。

時計を見ると、8時過ぎている。

驚きのあまり全身が総毛立つ。完全なる遅刻だ。

冷や汗を額に滲ませ、上司への言い訳を考える。

こういった時、不思議と動作は緩慢だ。

気持ちを落ち着かせる為、ひとまずコーヒーを片手にTVをつけた。

いつもと違う番組。

…日曜日だった。

題:天獄と地獄

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