看護学校の学費と生活費を貯蓄するため、事務をしながら、休日前の夜や休みの日はデリバリーヘルスの仕事をしていた。
私は不思議と感情を入れることなく、淡々とこなす事が出来る方だった。
それなりの性の悩みを抱えている人も多かったけど、一定の欲求を満たせば大抵の人は満足していた。
坂井さんは既婚者だった。
「妻の事は大好きだけど、子どもが出来てから抱く事が出来なくなった。興奮すると罪悪感に似た感情になる。何故だか自分でも分からない」そう相談された。
勿論、私にも答えは分からない。
だけど、これだけは言える。
「そうかもしれない。でもきっと、奥さんはあなたに抱いて欲しいと思ってる。それは最後までという意味ではなくて、ただ抱きしめてほしい、と」
私達は裸のまま話続けた。
裸の人間は、心までも裸になりたいと欲求するのかもしれない。
題:誰にも言えない秘密
6/5/2024, 8:11:06 PM