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3/6/2024, 6:49:45 AM

子どもの同級生のママが、話しているのが聞こえてきた。

「…そう、うちの夫はいつも、ありがとうって言ってくれるの。ご飯を作っても、掃除しても、子ども達と遊びに行ってきても…」

感嘆の息が漏れ、羨ましいと口々に言うのが聞こえた。

彼女は続ける。

「別に大した事なんてしてないし。いつも通りのことをしているだけなのよ。それでも、毎日、何度も言ってくれる…」

嫉妬の色が、空気に混ざる。それでも空気は透明なまま。彼女は続ける。

「…腹が立つのよ。毎日毎日、ありがとうって。ほんと、もっと言う事無い?って思うでしょ」

空気が一瞬にして真っ白になり、笑い声が廊下に響いた。


題:たまには

3/2/2024, 3:23:45 PM

とても、

個人的な、

たったひとつの、希望は。


いつか、必ず。


死がおとずれる、ということ。

3/2/2024, 9:46:43 AM

「欲望」

ふと足元に転がった、欲望。
知ってる。君を、知らないとは言わせない。

やんちゃなグループの筆頭格が、足を出した。
それに「欲望」は躓いた。

転がる「欲望」…

それでも、きっ!と睨み返す。

理不尽なあいつの仕打ちをやり返す。

「欲望」は、欲望のままに、

あいつの襟元を掴み、押し当てこれでもかと窓の外に押し出した。

「欲望」の欲望は、目の前にいるあいつの泣いている顔など…もう。

見えてはいなかった。

「欲望」は、欲望の、ままに。

2/25/2024, 4:52:37 PM

排泄と簡素な食事以外は、ベッドの中で丸まったまま一日を過ごし、日曜日が終わろうとしていた。

職場のことが少しでも頭に過ぎると、鉛のように重いものを胃の臓腑に感じて、気持ち悪くなる。

何処の職場でも、人間関係のいざこざがあることは理解している。

その、人間関係に労力を割くことには、ほとほと疲れた。

「角が立つから」もちろん意思表示はしない。
何も言わず、ひたすら就業時間が終わるのを待つ。

そんな明日を迎えなければならない。

カーテンを閉め切ったままの部屋は、今にも泣き出しそうな空の色をしていた。

ふと、カーテンの隙間から、丸い月が見えた。
立ち上がり3階のベランダから外を眺める。

月の下には、星屑のような家々の灯りが揺らいでいる。

広い世界の中のちっぽけな自分。
自分のことなど、誰も気には止めていない。

急に、突き刺すような風が吹き、髪を撫で通り過ぎた。
誰かに背中を押された気がした。

…仕事、辞めよう。そう、心に決めた。

2/24/2024, 7:23:11 PM

ネット上の言葉だった。

「今の時代、子どもを作るのは、バカか金持ち」

かなりの数の「いいね」がついていた。

「バカ」と「金持ち」の差は、単純に環境だろう。

身の丈に合った選択が必要だ、ということ。

本当に正論だと思う。

そう、これからの時代はみんな利口であるべきだ。




年月が経ち…年老いた私は、自身の部屋のベッドにひとり横たわっている。

私の横には、介護用のAIが家族として座っている。



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