子どもの同級生のママが、話しているのが聞こえてきた。
「…そう、うちの夫はいつも、ありがとうって言ってくれるの。ご飯を作っても、掃除しても、子ども達と遊びに行ってきても…」
感嘆の息が漏れ、羨ましいと口々に言うのが聞こえた。
彼女は続ける。
「別に大した事なんてしてないし。いつも通りのことをしているだけなのよ。それでも、毎日、何度も言ってくれる…」
嫉妬の色が、空気に混ざる。それでも空気は透明なまま。彼女は続ける。
「…腹が立つのよ。毎日毎日、ありがとうって。ほんと、もっと言う事無い?って思うでしょ」
空気が一瞬にして真っ白になり、笑い声が廊下に響いた。
題:たまには
3/6/2024, 6:49:45 AM